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ドルトムントが奏でた攻撃は“ロンド”の如く。トゥヘルが築き上げたオリジナルのポゼッション

text by 本田千尋 photo by Getty Images

実験を行いながらも完勝。ドルトムントは決勝Tへ

 相手に対する中盤、特に敵陣での優位性は、バイエルン・ミュンヘンの指揮官ペップ・グアルディオラも意識するところだ。攻撃時はインサイドにポジションを取るSBというアイデアは、敵陣での優位性を確保しようとするところから生まれている。

 ガバラ戦で攻撃時にフンメルスがDFラインを抜け出して、ギンターとバイグルと同じ列に並ぶようにポジションを取ったことは、トゥヘルの敬愛するペップの、そのSBのアイデアをどこか彷彿とさせる。しかしフンメルスはCBであるように、似て非なるものだ。トゥヘルは、オリジナルのポゼッションフットボールを築き上げようとしているのかもしれない。

 前半のガバラは、巨大なロンドの中に押し込められた。反撃の機会は、ほとんど与えられない。20分にカウンターからドドが左サイドを抜け出して、ゼニオフに折り返すが、ベンダーが戻ってクリアする。カウンターに対する最後のリスク管理として、後方にベンダーは1人残った。

 そしてBVBは速攻を厭わず、敵を仕留めにかかる。27分、左サイドでミキタリヤンとのコンビネーションからロイスが中央にドリブルで進み、右足を振り抜く。1-0。44分、ミキタリヤンからパスを受けたオーバメヤンがドリブルで進んで、左足でボールをゴールに押し込んだ。2-0。

 後半にドルトムントは、4-2-3-1に布陣を変更した。変更したと言うよりは、いつもの戦い方に戻した、と言ったほうがいいのかもしれない。バイグルが2CBの間に入ってビルドアップを始めようとする。

 ひとまず、実験は前半で終わったようだ。それでもBVBは敵陣でガバラを圧倒した。67分、CKからゼニオフのオウンゴール。3-0。そして70分、ムヒタリヤンが右足を振り抜いて止めを刺した。4-0。ドルトムントが4-0でガバラを下した。

 トゥヘルが戦術的実験を行いながらも完勝したガバラ戦だった。

【了】

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