見習うべき長友の姿勢
結果が出せなかったことへのエクスキューズはある。ミランは選手の距離感が長く、パスが全部自分の頭上を越えるような状況では、本田がトップ下として結果を出すことも難しかっただろう。
シルビオ・ベルルスコーニ名誉会長以下、攻撃的で強いクラブへの再建を求めながら、構造ごと変えてポゼッションサッカーにシフトしないのはジレンマでもあったはずだ。
だが異なる現実を受け入れ、チームメイトのためにどう貢献するべきかを考えるのもプロだ。
そして、チーム貢献とは腐らずに日々練習することも含まれる。「出場停止やケガでチャンスは来るものだから練習してそれを待て。そして来たら活かせ」とミハイロビッチ監督はシンプルに言った。いちいち引き合いに出すのも良くないかもしれないが、まさにインテルで長友佑都がやったことではないか。
イタリアサッカーの理不尽な厳しさに気づき悩んだ日本人選手は、本田一人ではない。むしろ本田以上の不遇に見舞われていた選手は過去何人もいたが、葛藤は覚えながらも皆努力は惜しまなかった。
「ベンチに座る人の気持ちが分かった」と、シンガポールで本田が発言したと聞いた。その言葉を、今後彼がどう体現するのかに関心を寄せたい。
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