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クラシコが突きつけたバルサとの差。問題は指揮官にあらず。レアルにはびこる根深い課題

text by 山本美智子 photo by Rafa Huerta

バルサが証明した“ジダネスとパボネス”の正しさ

 しかし、サポーターは問題は監督ではなくフロレンティーノ・ペレスにあると思っている。アス紙電子版が行なった緊急アンケートでの戦犯探しでは、クラシコが明けた翌日に66.6%、つまり3人に1人がフロレンティーノ・ペレスにこうなった責任があると感じていることが伺える。

 今回、次期監督として名前があがっているジダンこそ、ペレス会長の黄金期の象徴だ。当時、ジダネスとパボネスという言葉が生み出された。ジダンのような世界レベルの選手を攻撃に、パボンのように下から育てた選手を守備におき、そのコンビネーションをレアル・マドリーのカラーにする、という考え方だ。

 その時代から13年が過ぎて、ジダンはレアル・マドリーのユースを率いる監督となり、パボンは数年前に選手として失業したものの、もっと必要としている人がいるからと国からの失業保険を拒否したことでニュースになった。

 この2人の立場の違いは象徴的で、現在のピッチレベルにもそれが反映しているかのようだ。その流れを組んで生まれたのが、現在のBBC?ベンゼマ、ベイル、クリスティアーノ・ロナウド?だが、一方、ファブリカ-レアル・マドリーユースで育った選手の通称?の選手は、今回のクラシコでも皆無だったのは、見ての通りだ。

 当時のレアル・マドリーのクラブモデルは間違っていないことを証明してみせたのは、宿敵のFCバルセロナの方だった。バルサは、ユース育ちの選手5人――ジェラール・ピケ、ジョルディ・アルバ、セルヒオ・ブスケツ、アンドレス・イニエスタ、セルジ・ロベルト――が、スタメンを飾り、全員が精彩を放つ活躍をみせた。

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