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レアルが陥った「ポゼッション」の誘惑。マドリー・ダービーの明暗分けた“成熟度”

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

両チームの対照的なスタイルとは

 ジネディーヌ・ジダン監督就任以降のレアル・マドリーは、より多くボールを持つことを狙いとし、ここまでのリーグ戦8試合で支配率が50%を下回ったことはない。そして、ホームゲームでは4試合で20得点と圧倒的な得点力で相手をねじ伏せてきた。

 対するアトレティコはディエゴ・シメオネ監督のもと、現在では欧州全土で10本の指に入る強さを手にした。そのスタイルは世界屈指ともいえるカウンター。ここまでリーグ戦26試合で支配率50%以上を記録したのは13試合。つまりちょうど半分の試合では50%を下回っている。それでも25節までの成績はレアル・マドリーを勝ち点で1つ上回る55。特に失点数11はリーグ最少という堅守を誇る。

 一見すると、この試合はレアル・マドリーが優勢に進めているようにも感じられるが、実際には互いに狙い通りのプレーをしていたといえる。いや、むしろアトレティコこそが狙い通りのプレーだったといえるのかもしれない。

 レアル・マドリーは、アトレティコの強烈なプレスを回避するためにワンタッチ、ツータッチでボールをつなぐことを意識していた。マドリーのこの試合の総タッチ数は895回。アトレティコは506回であり、マドリーの前回ホームでの試合となるビルバオ戦では778回だったことからも、この試合での多さがわかる。

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