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レアル“完敗劇”の理由は? 長所を抑え短所を突いたヴォルフスブルクの完璧なる戦略

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

スペースを上手く使ったドラクスラー

ディーター・ヘッキング
ディーター・ヘッキング監督【写真:Getty Images】

 この試合でマドリーの右SBを務めたのがダニーロだったこともヴォルフスブルクを後押しした。

 ダニーロは超がつくほど攻撃意識の高いSB。この試合でも90分を通して敵陣でのプレー割合が68.57%。後半に限っていえば82.35%とほとんどウイングの選手といえるほどの数字となっていた。

 そして、一度自陣までマドリーを引き付けたヴォルフスブルクは、ボールを奪うとがら空きとなったサイドのスペースをドラクスラーが突破。さらにマドリーの中盤は攻撃に出ていたことで中央の、いわゆるバイタルエリアもがら空き。ここへドラクスラーが切り込んで度々マドリーの守備陣を脅かしていた。

 それが凝縮されたのが25分にマキシミリアン・アーノルドが決めた2点目のゴールだった。

 誰もが絶対的不利と予想していた一戦で、ヴォルフスブルクは勝利を手にした。それも2-0。それを可能としたのが徹底的な分析と完璧な戦略だった。相手の短所と自らの長所をいかに噛み合わせるか。それこそが世界で戦うための重要なポイントである。

 全霊で考えれば、ヴォルフスブルクのベスト4進出の可能性はかなり高い。一方で、マドリーがホームで3点以上を奪うのも難しいミッションではない。現状では、まだ五分五分といったところ。この試合を見る限り、ヘッキング監督が2ndレグでどのような戦略を立てるかが大きな見どころとなる。

(文:海老沢純一)

【了】

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