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ネイマール、PSG加入報道への疑問。現実味を欠くパリ移籍。魅力の乏しい国内リーグ

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

来季の去就が不透明なイブラヒモビッチ

 また、ネイマールには頭の痛い問題もある。

 脱税問題だ。

 バルセロナに移籍する前にプレーしていたブラジルのサントスでの給与を過少申告していたとして、すでにブラジルの検察当局からは自家用ジェットやヨットなど、総額約55億円相当の個人資産を差し押さえられているが、サントスからバルセロナに移籍した際にも申告されていない金銭の譲渡があったという疑いで現在調査対象にされている。

 ネイマール側はこれを否定し、金銭面を管理する父親が「スペイン当局がこのような行為を続けるなら、この国でプレーすることを考えなくてはならない」と発言したことも、『脱・スペイン構想』を後押しする形になっている。

 一方のPSGも、今夏は目玉移籍を画策している。

 これまでチームの大エースだったイブラヒモビッチとの契約が今季いっぱいで切れるため、彼の後釜となるスーパースターを是が非でも獲得する必要があるのだ。

 しかし今季のイブラはあまりに絶好調であり、すでに一選手という存在を超えてチームの大黒柱となっている彼の絶大な影響力を失うのは惜しいと、クラブ側はあと2年の契約延長を提示している。

 マンチェスター・ユナイテッドからの誘いや、アメリカのマイアミに新クラブを立ち上げるベッカムからのラブコールなど引く手数多のイブラは、3月早々にリーグアン優勝を決めた際には「今の時点では、来季はこのクラブにはいない」と発言。

「エッフェル塔みたいな“イブラタワー”を造ってくれるなら考えてもいい」と彼らしいジョークで煙に巻いたが、彼の去就はいまのところ不透明だ。

 2011年夏にカタール勢が参画して新体制になって以来、PSGは計画的に、そして実に戦略的に選手補強を実行してきた。

 初年度はレオナルドをスポーツディレクターに迎え、マテュイディ、シリグ、パストーレ、マクスウェル、チアゴ・モッタら基盤となる選手を獲得。シーズン途中には名将カルロ・アンチェロッティを招聘し、翌シーズンのタイトル獲りの下準備をおこなった。

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