アトレティコをCL決勝に導いた4人のキーマン。チョロとペップの超高度な戦術合戦を読み解く

2016年05月04日(Wed)13時40分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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質と量を兼ね備えたエンジン。シメオネサッカーの申し子コケ

コケ
コケ(左)とガビ(右)はアトレティコの心臓部【写真:Getty Images】

 オブラクやグリーズマンのようにわかりやすい活躍をした選手以外にも、決勝へ進むために欠かせない存在がいた。それは中盤で攻守に大きな貢献をしたコケだ。シメオネサッカーの申し子とも言われる戦術的に重要な役割を果たしている。

 試合開始時は左サイドハーフの位置でスタートしたコケは、後半開始から主将のガビと並んで2列目インサイドハーフの位置に入る。前半で一度布陣を4-1-4-1に変更した際は相手のDFに対してうまくプレッシャーがかからず苦労したが、後半は同じフォーメーションにもかかわらずその課題が改善された。

 そこで大きな役割を果たしたのがコケだった。相手のCBがボールを持った時、4-4-2であればF・トーレスが最初にプレッシャーをかけ、その次にグリーズマンが寄せていく。4-1-4-1になると後者の役割を果たす選手がいなくなり、相手に自由を与えてしまっていた。

 コケは後半開始からインサイドハーフになったが、守備時はF・トーレスの横まで出て行き、4-4-2のような形でそれまでグリーズマンが担っていた役割を補うようになる。さらに相手がプレスを剥がして自陣まで攻め込んでくると、今度はゴール前まで走って他の選手のカバーリングに入る。

 まるでピッチの中に何人もコケがいるような錯覚を起こすくらい、様々な局面に顔を出して周りの選手たちを支えた。F・トーレスは試合前の記者会見で「アトレティコの選手たちはチームのために死ねる」と語ったが、まさにその考えを体現するプレーぶりだった。

 その証拠にコケはチームトップの12.03kmを走りきった。同じようにF・トーレスとガビも走行距離12.02kmを記録し、その貢献度の高さを証明している。コケに至ってはチームで最もパスを通した本数が多く(それでも25本)、攻撃面で果たした役割も大きい。

 おそらく個人能力では総じてバイエルンの選手たちに軍配が上がるものの、非常に高度な戦術合戦が繰り広げられた中で、アトレティコの選手たちは全員が求められた役割を十二分に果たして総合力でグアルディオラ監督のチームを上回った。一発勝負の決勝でもその団結力とフォア・ザ・チームの精神で世界を驚かせてくれるはずだ。

(文:舩木渉)

【了】

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