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アトレティコをCL決勝に導いた4人のキーマン。チョロとペップの超高度な戦術合戦を読み解く

text by 舩木渉 photo by Getty Images

急所を一刺し。ワンチャンスをものにしたグリーズマン

グリーズマン
アントワン・グリーズマンがトドメの一撃を突き刺した【写真:Getty Images】

 後半、1点ビハインドを背負ったアトレティコはアウグスト・フェルナンデスを下げてヤニック・フェレイラ・カラスコを投入。第1戦で決勝点を挙げたサウール・ニゲスをアンカーに据えた4-1-4-1でバイエルンの攻撃に備える。

 試合の行方を決定づける瞬間は突然やってきた。54分、久しぶりに高い位置でボールを奪ったアトレティコはカウンターに転じると、前線でパスを受けたフェルナンド・トーレスがワンタッチでDFの間を走り抜けたグリーズマンにスルーパスを送る。

 ボールを完璧なコントロールで持ち出したグリーズマンはGKマヌエル・ノイアーとの1対1を焦らず制し、同点ゴールを流し込んだ。この1点が貴重なアウェイゴールとなり、バイエルンは勝ち抜けのために2点が必要になる。

 アトレティコが試合を通じて放ったシュートは、バイエルンの35本に対してわずか7本。枠内に飛んだものはそのうちの4本で、決定機と呼べるほどのチャンスはグリーズマンが奪った1点の場面のみだった。

 まさに「急所を一刺し」。一瞬だけ見えた相手の隙を見逃さず、最も痛みの強い場所を正確に突く。いつものポジションでなくともチームのために走り続け、F・トーレスとともに自分が仕事をするタイミングを常にうかがっていたグリーズマンだからこそ決まった決勝進出を手繰り寄せる重要な1点だった。

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