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ネイマールがバルサで直面した“メッシ問題”。失われた大胆さ、“オウザジーア”【フットボールと言葉】

異なる言語間では、翻訳困難な語は無数にある。それはフットボール界においてもしかり。外国のフットボーラーが語った内容を、我々はしっかりと理解できているのだろうか。選手、監督の発した言葉を紐解き、その本質を探っていきたい。彼がバルセロナ移籍時、両足に入れたタトゥーの言葉から、“セレソン”のエースのプレー哲学に迫る。(文:竹澤哲)

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲 photo by Getty Images

本来の大胆さを欠いたバルサ加入当初

ネイマール
ネイマール(左)とメッシ(右)【写真:Getty Images】

 2013-14年シーズンが始まり、ネイマールは初出場したスーペルコパ、対アトレティコ・マドリー戦で初ゴールを決め、タイトル獲得に貢献するという、派手なデビューを飾った。また10月26日に行われたレアル・マドリーとのクラシコでも、1ゴール1アシストの大活躍。勝利に貢献するなど、最初から数字の上では結果をだした。

 しかしながら、ネイマールはまだサントスの時のように自由に、のびのびとプレーしているようには見えなかった。サントスでみせていたような大胆な、つまりネイマールが信条としているオウザジーアという言葉を実践するまでには至らなかった。やはりメッシというバルサにとっては絶対的な存在の前、遠慮もあったのだろう。メッシのためにプレーするような場面が多かった。

 バルサでの最初のシーズンはそこそこの結果は残したものの、本人にとっても大満足と言えるものではなかったはずだ。しかしワールドカップが始まると、ネイマールはブラジルに戻り、水を得た魚のように自信を持ってはつらつとしたプレーを見せた。開幕戦となったクロアチア戦では2ゴール。グループリーグ第3戦のカメルーン戦でも2ゴールと大活躍をみせた。

 誰もがネイマールのための大会になるのではないかと思い始めた矢先、準々決勝コロンビア戦でネイマールは脊椎骨折にて負傷退場、ネイマールは大会を去ることになってしまう。ブラジルは準決勝でドイツに7対1と大敗するという、ネイマールにとって、初めてのワールドカップは予想もしなかった結末を迎えてしまう。

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