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新時代へ、バルサを変えた2人のルイス。メッシを超えたスアレスとペップを乗り越えたエンリケ

リーガエスパニョーラ最終節が行われ、バルセロナはグラナダに勝利。レアル・マドリーを勝ち点1差で振り切って連覇を果たした。この勝利をチームにもたらしたのは、ハットトリックを決めて40得点としてルイス・スアレス、そして、数多くのバルサ対策に打ち勝ったルイス・エンリケ監督だった。(文・海老沢純一)

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

終盤5戦で14得点。恐ろしいほどの成績を残したスアレス

ルイス・スアレス
バルセロナを牽引したルイス・スアレス【写真:Getty Images】

 2015/16シーズンの欧州主要リーグで唯一最終節まで優勝争いを繰り広げていたスペインだったが、前年度王者のバルセロナがグラナダとのアウェイゲームを制して連覇を遂げた。

 チャンピオンズリーグでアトレティコ・マドリーに敗れたことによって、連続三冠の可能性は失っていたものの、バルセロナにとって今季は様々な面で収穫も、そして来季への課題も見えたシーズンとなったはずだ。

 まず、今季の1年を通してバルサにとって、誰よりも不可欠な選手ともいえる存在となったのがルイス・スアレス。最終節でのハットトリックによってリーグでの得点数を40にまで積み上げたが、スアレスの得点への貢献度はこの40点には収まらないほど絶大なものがある。

 スアレスは、センターFWとしてプレーするが、決してゴール前に張り続けるタイプではない。上下左右に動き回り、両サイドのメッシとスアレスと抜群のコンビネーションを築いて、時にはチャンスメイクの中心ともなる。自身よりも得点の可能性が高ければ、迷いなく隣の味方へパスを選択できる選手であり、今季の19アシストは得点とともにリーグトップの数字である。

 終盤5試合では14得点4アシストと、恐ろしいほどの成績を残した。昨シーズンは“噛みつき事件”によってシーズン序盤で起用できない状態で、100億円を超える移籍金を支払ったバルサだが、今季の活躍ですでにこの移籍金を取り返すだけの見返りを受けたといえるだろう。

 バルサは“メッシのチーム”から“スアレスもいるチーム”へと進化を遂げた。

 もう1つの収穫がルイス・エンリケ監督。就任初年度から多くの勝利を積み重ねたものの、誰もが羨むような陣容を手にしていたことから「何もしない監督」といったような批判を受けることもあった。

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