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EURO2016 8年前

イブラを完封した“カテナチオ”イタリア。死の組突破に導いた闘将コンテの「勝利のDNA」

text by Keiske Horie photo by Getty Images

スウェーデンの伝説を“完封”したイタリア

ズラタン・イブラヒモビッチ
イタリアが封じ込めたイブラヒモビッチ【写真:Getty Images】

 イタリアの強さを支えているのが「カテナチオが復活した」とも称賛される堅守だ。カテナチオは元来“鍵をかける”という意味を持つリベロシステムを指す言葉だが、現代となってはイタリア伝統の堅守の総称として謳われている。

 ベルギー戦に続きアントニオ・コンテ監督得意の3-5-2の布陣で挑んだイタリアは、ゾーンとマンマークを併用する巧みな守備組織によってスウェーデンの伝説ズラタン・イブラヒモビッチを封じ込めることに成功した。同選手は前線に張るだけではなく下がって組み立てにも参加することができ、イレギュラーなポジション取りを取ることで相手守備陣を混乱に陥れる。

 しかし、イタリアはイブラヒモビッチが下がった際にはDFジョルジョ・キエッリーニが中盤までしっかりとマークをキープすることで、常に自由を与えないことに成功した。キエッリーニが上がることで守備陣の人数が一人減るが、3バックであることから数的優位は確保できる。

 さらにイタリア代表は通常の3バックシステムとは異なり、3センターハーフのインサイドハーフがサイドバックにプレスをかけるルールを共有している。これによって、相手サイドバックに高い位置からプレスをかけることで守備ラインが下がるのを防ぎ、またサイドバックが釣り出されて裏のスペースを使われることも防いでいる。

 インサイドハーフがプレスのために上がった際には2トップの一角がインサイドハーフのポジションまでカバーに走ることもいとわないため、ディフェンスとミッドフィルダーの2ラインには一瞬足りともスペースを与えない連動性を持っている。

 初戦のベルギー戦では終盤戦に相手ボールの時間が増えたものの、連動した守備陣がブロック内にボールを入れさせないことに成功している。この様子がピッチ上空からの撮影したカメラに映しだされ、ファンからは「もはや芸術的な守備」と大きな話題を呼んでいた。

 この日のイタリアもイブラヒモビッチが自由を与えたのは、たった一度だけだった。左サイドからのクロスが流れ、フリーでシュートを放つも至近距離で枠を捉えることができなかった。しかし、このチャンスもイブラヒモビッチはオフサイドポジションであったため、実質的には一度も決定機を与えていない。

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