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EURO2016 8年前

イブラを完封した“カテナチオ”イタリア。死の組突破に導いた闘将コンテの「勝利のDNA」

text by Keiske Horie photo by Getty Images

闘将コンテが注入した勝利のDNA

アントニオ・コンテ
見事な仕事をみせるアントニオ・コンテ監督【写真:Getty Images】

 タレント不足が叫ばれながらも、イタリア代表が順調なスタートを切ることができた理由は、紛れもなく闘将アントニオ・コンテ監督の功績だ。

 今大会ではピルロ、マルキージオ、ヴェッラッティ、モントリーボといったレジスタ(演出家:組み立てを担当するMF)が不在であるにも関わらず、ナポリで驚異的な活躍を見せたMFジョルジーニョを招集外としたことが大きな話題を呼んだ。さらには同じくナポリのFWロレンツォ・インシーニェ、ローマのFWステファン・エル・シャーラウィといったテクニック溢れるFWも容赦なくベンチに座らせている。

 しかしながら、これらの決断は全て徹底的に運動量と連動性を高めて“闘う集団”を作り上げるためだ。そして、現状2試合を振り返る限り指揮官の判断は正しかったと言えるだろう。インサイドハーフに豊富な運動量を備える選手を置くことで堅守速攻を実現し、ベルギー戦で先制点を決めたMFエマヌエレ・ジャッケリーニは今となってはコンテ・イタリアの最重要人物となっている。

 この思想こそがコンテ監督がかつてユベントスを常勝軍団に生まれ変わらせた「勝利のDNA」である。堅守を支えるGKジャンルイジ・ブッフォンと守備陣キエッリーニ、レオナルド・ボヌッチ、アンドレア・バルザーリは紛れもなくユベントスのユニットであり、ジャッケリーニもコンテが躍進させた選手の一人だ。

 スウェーデン戦でみせた相手の攻撃を防ぎ切り最後の最後でゴールを決める勝負強さは、まさにセリエA勝点記録を打ち立てたコンテのユベントスを連想させるものだった。イタリア代表に勝負強さという伝統を蘇らせたコンテ率いるアッズーリは今大会の優勝候補に名乗りを上げるポテンシャルを持っている。

【了】

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