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EURO2016 8年前

ドイツ、本職CF起用という解決策。向上したポゼッションの質。グループ首位で決勝Tへ

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「6バック」崩すための戦術的変化

 試合が始まると北アイルランド代表は、レーブの予想通り「6バック」で固めてきた。その戦術はフットボールを放棄したとも捉えられかねないが、北アイルランドを責め立てることはできないだろう。大国と向き合うために、小国はカウンターに頼らざるを得ない。

 ゴール前に立て籠もる北アイルランド代表に対して、序盤からドイツ代表は攻め立てた。7分には、右サイドを上がったキミッヒが、中央のエジルにボールを送る。エジルはダイレクトでエリア内に走るミュラーにパス。ミュラーのシュートはGKに防がれたが、最初のチャンスを作り出した。

 11分には、最終ラインのボアテングのロングボールから、エジルがシュートを打つ。ここは上手くミートできず、DFにクリアされる。

 立て続けのチャンスにもかかわらず、決め切ることはできなかったが、この2つの場面に、ポーランド戦からの変化が凝縮されていたと言えるだろう。

 1つは、キミッヒが入ることによって、右SBからチャンスを作り出すことが可能となったこと。これまでの2戦に右SBで先発したヘーヴェデスは、CBが本職だ。右サイドを上がったとしても、質の高いボールを味方に送ることはできなかった。

 そして、もう1つは、エリアの手前でのダイレクトプレー。さらには、ボアテングからのロングボールを取り入れたことだ。ダイレクトでDFラインの裏にボールを入れることは、固い守備を崩すために、効果的と言えるだろう。

 23分には、キミッヒがエリアの手前のゴメスに送ると、ダイレクトでゴメスは胸でエリア内に送る。ミュラーが走り込んでシュートを打つ。シュートはわずかに左に外れたが、引いて固めるアイルランドに対して、ドイツ代表はチャンスを作り続けた。ミュラーは「今日のピッチ上で僕らは(ポーランド戦に比べて)確かに改善した」と振り返る。

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