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セリエA 8年前

「スタジアム建設には地元への還元が必要」。フロジノーネ会長が掲げる小規模クラブの経営ビジョン【独占取材】

text by 神尾光臣 photo by Frosinone calcio / Getty Images

「クラブ哲学は変えない」「ファンが仕事ぶりを評価してくれた」

フロジノーネ
降格が決まった試合直後もファンは選手たちに拍手を送った【写真:Getty Images】

――そもそもフロジノーネは、当初から育成部門に力を入れていたと伺っております。

「実際、昨年セリエBから昇格したチームには下部組織出身の選手たちも多く、今季のチームにも少なくとも6人が所属していた」

――セリエAに昇格しても方針は変えなかったということですね?

「今シーズンはセリエBに挑むが、そこでもプリマベーラに所属していた若手を6人トップチームに引き上げる予定だ。絶対にセリエAへの昇格を目指す、というものではないが、クラブの哲学は変えずに上を目指したい。少なくともセリエBでも全力で戦い抜くことをファンの皆さんには約束したい」

――そんなクラブの姿勢を、地元のファンの皆さんは理解していたようです。37節、ホームのサッスオーロ戦で降格が決まりましたが、試合後にファンからの声援がチームに送られたシーンは非常に印象的でした。

「我々のこの数年間の仕事ぶりを評価してくださっていたということだろう。私にとってはただただ嬉しい。ファンの皆さんに評点を付けるなら、10点満点で10点の評価を差し上げたい」

――同じ頃、例えばミランなどのクラブではホームの選手に対してよくブーイングがされていました。ファンのサポートという点では対照的だったという印象があります。

「私も知っている。そういうシーンを見るのは残念だ。フロジノーネのファンの皆さんの応援のスタイルが、イタリア全体にとっても見本となればいいなと思っている」

――フロジノーネvsミランはマトゥーザ(現在のフロジノーネのスタジアム)で観ましたが、選手たちがピッチで全力を出すので応援のしがいがあるチームだったのではという印象を持ちました。会長ご自身は、今年のチームに対してどんな感想をお持ちですか?

「非常に団結した、素晴らしいグループだった。基本的に、骨格は2年間で変わっていない。来季も彼らを中心としたチーム作りをしたいと考えている。もちろん戦力上今年うまくいかなかった部分については修正をしていなかければならないがね」

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