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ドゥンガ、自身2度目のブラジル代表監督解任。セレソンの暗部。サッカー連盟での綱引き【フットボールと言葉】

異なる言語間では、翻訳困難な語は無数にある。それはフットボール界においてもしかり。外国のフットボーラーが語った内容を、我々はしっかりと理解できているのだろうか。選手、監督の発した言葉を紐解き、その本質を探っていきたい。今回は、リデランサ(リーダーシップ)をキーワードに、前ブラジル代表監督ドゥンガのサッカー観を紐解いていく。彼はなぜセレソンの監督に2度就任し、2度解任されてしまったのだろうか?(取材・文:竹澤哲)

シリーズ:フットボールと言葉 text by 竹澤哲 photo by Getty Images

再度ブラジル代表監督に就任も解任

ブラジル代表監督を解任されたドゥンガ
ブラジル代表監督を解任されたドゥンガ【写真:Getty Images】

 2016年6月14日、CBF(ブラジルサッカー連盟)はブラジル代表監督ドゥンガの解任を発表した。直接の理由はコパ・アメリカ・センテナリオにおけるグループリーグ(1987年以来となる)敗退であるが、それ以外にも昨年のコパ・アメリカ準々決勝敗退や、さらに2018年ワールドカップ南米予選において6位と低迷していることも問題とされていた。

 ドゥンガが最初に代表監督を務めた2006年当初、ドゥンガに代表監督を任せることを疑問視する声も多かった。その時までドゥンガは一度も監督を務めたことがなかったからだ。しかしそのような疑問に対し、ドゥンガは結果を出すことで答えていった。2007年コパ・アメリカ優勝、2009年コンフェデ杯優勝を果たし、さらに2010年ワールドカップ南米予選を1位で通過した。

 ワールドカップ南ア大会は準々決勝でオランダに敗れベスト8で終わったが、就任期間中の通算成績は60戦42勝12分6敗、勝率7割という立派なものであり、少なくとも、続けるのが大変だとされるブラジル代表監督の任務を4年間全うしたのだった。

 代表監督を退いてからは自らが育ったクラブである、ポルト・アレグレのインテルナシオナルの監督を務め、また2014年ワールドカップ時には解説などをしながら、再び監督へ戻る準備を進めていた。

 そこへ突然のように沸き起こったのが代表監督再就任の話だった。

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