「走力」「戦術理解」「インテリジェンスと実直さ」。右サイドでの3つの適応性

　アウトサイドは、本田にとって本来のポジションではない。日本代表で右サイドとして使われていることについても批判的な声があるということも報道で耳にした。

　ただそんな彼が裏腹に良いプレーができたのは、必要を満たす走力に加えて、戦術上の必要を理解し、それを実行できるインテリジェンスと実直さがあるからだ。そういったものはこの試合でも発揮され、終盤に攻撃を活性化させていた。

　負け試合なので、持ち上げすぎるわけにはいかない。何より本田本人が、今日の結果やゴールに絡めなかったことを悔しく思っていることだろう。ただ途中交代から見せたこの日のプレーは、決してネガティブな内容ではなかった。

　スソは好調だし、エムバイエ・ニアンが出場停止から復帰する次節以降は、しばらく4-3-3システムと本田のベンチスタートが続くことになるかもしれない。

　ただこの試合で右のアウトサイドのやり手は少ないこと、そして4-4-2に限定すれば右のサイドハーフができるのは本田くらいということが図らずも証明されてしまった。補強戦略の不備の結果でそうなっているにすぎない面はあるが、少なくともアピールできる余地は存在するということだ。

　この日のような実直なプレーを続けつつ、ゴールとチームの勝利に結び付けていくことができるか。チームもまだ固まり切れていない。その中で勝利に貢献するプレーをして、定位置奪回へと挑んでもらいたいものだ。

（取材・文：神尾光臣【ミラノ】）

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