ビッグセーブは最後の手段。ドイツが優秀な守護神を輩出し続ける理由。GK大国の理論的整理

2016年09月16日(Fri)10時19分配信

text by 中野吉之伴 photo Getty Images
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バックパスルール導入後の変化

DFB(ドイツサッカー連盟)のイェルク・ダニエルGKコーチ
DFB(ドイツサッカー連盟)のイェルク・ダニエルGKコーチ【写真:Getty Images】

 だが、こうしたプレースタイルそのものが無条件で絶賛されるものでもない点は考慮しなければならないだろう。DFB(ドイツサッカー連盟)専任GKコーチのイェルク・ダニエルは「ノイアーの飛び出しがチームを救うことが多かったのも事実だが、ダイナミックに相手にぶつかればファールとなるリスクも多くなる。ましてペナルティエリア内でとなれば、即レッドカードとなる可能性だって低くはない。飛び出すか否かの議論だけでは危険なのだ。いつ、どうした状況で飛び出すのが有効かを知ることが大切なんだ」と語っていたことがある。

 バックパスルールが適用された1992年からGKの仕事は変わったと言われている。バックパスを手で処理できないからと足元の技術があるGKが求められた。だが実際にGKの仕事はそれほど変わったのだろうか。

 一つ興味深いデータがある。1974年ドイツカップ決勝とブラジルW杯の一試合を比較してみると、バックパスをGKが足で受けてパスするのと、キャッチして近くの味方に手で渡すだけの違いがあるだけで、それ以外はほとんど一緒のプレーだったという。足元の技術が必要ないというわけではない。だが、それがスタート地点ではないのだ。

 ではGKの本質的な仕事とは何か。派手なプレーではなく、止めなければならないボールを確実に止めるセービングこそが重要なのだ。そのためには相手のシュートが入る可能性をできる限り下げるための技術と戦術を身につけなければならない。派手なセーブばかりをするGKはポジショニングや動き出しにミスがあるから派手にならざるを得ないことが多い。そもそもビックセーブはあくまでも最後の手段なのだ。

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