ビッグセーブは最後の手段。ドイツが優秀な守護神を輩出し続ける理由。GK大国の理論的整理

2016年09月16日(Fri)10時19分配信

text by 中野吉之伴 photo Getty Images
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2011年にはGKの指導者ライセンスを導入

 こうした正しい知識を伝えていくためにDFBではGKライセンスを2011年に導入。ただ、それ以前にも優れたGKがたくさん輩出されていたことから、「何のためのライセンスだ」という風当たりがなかったわけではない。

 ブンデスリーガクラブならばそれなりのノウハウを持っていただろう。そこに集う選手たちが持つポテンシャルの高さのおかげというエクスキューズもあったはずだ。しかしグラスルーツレベルにはそのどちらもない。GKコーチはいても選手時代の経験のコピー以上のものは提供できないのが実情だった。

「何を、何のために、どのように」というトレーニング理論は指導するための指針となるし、アマチュアサッカーのレベルアップはより洗練された選手の誕生に結びついていく。そしてGKのレベルアップはフィールドプレーヤーのレベルアップに密接につながっていくはずだ。

 この3年半でGKコーチ講習会を受講した指導者は1500人を超えるという。これまでは1段階だけだったこのライセンスを2段階、3段階にと発展させる準備もされている。まずはビクともしない土台を築き、そこからじっくりと柱を立てていく。

 正攻法のように聞こえるが、それまでなかったものを全土に広げていくことがいかに困難な作業か。押し売りすることはできない。彼らの心に響かなければ理論は空論で終わってしまう。だから自分たちの哲学を徹底的に整理し、論理付け、辛抱強く説いていく。GK大国のドイツはそうしたたゆまぬ努力をしているのだ。

(取材・文:中野吉之伴【ドイツ】)

【了】

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