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日本人はフィジカルが「弱い」のか? 当たりのタフさだけではない、「強さ」を構成する要素【サッカー用語の基礎知識】

シリーズ:サッカー用語の基礎知識 text by 実川元子 photo by Getty Images

「フィジカルが強い/弱い」はどこで判断するのか?

身長には恵まれなかったものの、フィジカル的に優れていたディエゴ・マラドーナ
身長には恵まれなかったものの、フィジカル的に優れていたディエゴ・マラドーナ【写真:Getty Images】

 日本代表選手が国際試合で当たりの激しい相手に負けるたびに、監督や評論家が、敗戦の要因として「フィジカルの弱さ」をあげることがある。身長が低い、骨組みが華奢、といった体格の差だけを指して「フィジカルが弱い」とは言わない。それでは何をもって「フィジカルの強さ」は測られるのだろうか?

 サッカーのフィジカルコーチのウェブサイト(例1例2)をいくつか回って見たところ、サッカーに必要な「フィジカルの強さ」を判断する要素は、大きく分けて3種類あるのではないかと思われた。

(1) 敏捷性(アジリティ、スプリントのスピード、スピードを落とさずボールが扱える)

(2) 持久力(スプリントを繰り返す、90分間走り切る)

(3) 筋力(当たり負けしない、簡単に倒れない体幹の強さ)

 フィットネスコーチが重視しているこの3項目を踏まえると、フィジカルの強さとはつまり、相手をふっ飛ばせるほどの筋力だけでない。走力や敏捷性も含んだ体力=フィジカルストレングスということになる。

 日本代表選手が、たとえばアルゼンチン代表選手に比べて「フィジカルが弱い」と言うときには、それは特に(3)の筋力を指しているのではないか。素人目ではあるが、日本代表選手の敏捷性や持久力がアルゼンチンの選手に比べて大きく劣っているようには思えない。

 3つの要素をバランスよく総合的に磨くことによって、本当の意味での「フィジカルの強さ」は具えられるのではないか。身長差や体格差という越えられない壁ではない部分で、フィジカル問題を語る必要がありそうだ。

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