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【英国人の視点】CL越え目指すクラブW杯。利益優先と欧州都合、不可解なFIFA会長の思惑

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

開催国枠は必要か? 大会フォーマットも変更を

鹿島
クラブW杯決勝進出を果たした鹿島アントラーズ【写真:Getty Images】

 開催国のファンは、テレビゲームやYouTubeでしか知らないスター選手を一目見るため出費を惜しまないのかもしれない。それでも、欧州のいつも通りの顔ぶれが激突する機会を増やして大会の意義を薄めてしまうくらいなら、無駄を削ぎ落として6チームのシンプルな争いにしてみてはどうだろうか。

「6大陸連盟全てのチャンピオンを集めることができるという機会には、いつも特別な意味がある。各大陸の選手権はそれぞれが豊かで異なる人間味に溢れると同時に、大会の重要性や生み出す興奮は全てが等しいものだ」と、インファンティーノ会長も今大会の開会メッセージの中で記している。

 それはまさに事実であり、6つの大陸それぞれの王者が一同に会して激突するというのは、様々な意味で伝統的かつ独特な大会方式だ。

 日曜日の決勝戦に向けた鹿島の奮闘は印象的であったものの、ホスト国の代表枠が確保されていることは少々気になるところだ。開催国のファン、放送関係者、スポンサーにとっての魅力は減じるであろうが、この枠は廃止してもいいだろう。

 シンプルにそれぞれの大陸王者を招き、シードなしで3チームずつの2グループに分けてみてはどうか。各グループの1位チームが決勝を戦い、2位と3位のチームもそれぞれ同順位のチームと試合を行って順位を決定するという方式だ。

 現行の大会方式に比べて期間が延びることはない。一方で、現在のようにいびつではなく、各チームがより同条件に近い形での戦いとなる。オセアニア王者が1試合だけを戦うために開催地に10日間滞在したり、欧州王者が1週間で2試合を戦って慌ただしくトロフィーを回収していったりするようなこともない。各チームが、これまで対戦経験もなく、今後もおそらく対戦機会がないであろう相手と3試合を戦うことが保証される。

 もちろん、欧州の参加チームがある程度寛大に応じてくれることは必要になるだろう。現行方式での大会参加の手間を辛うじて受け入れている彼らのスケジュールにもう1試合を組み込むとなれば、ある程度の説得が必要となりそうだ。

 それ以上に必要なのは、現在構想されている“スーパーリーグ”より収益が減少するシンプルなスポーツの大会をFIFAが受け入れることだ。

(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】

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