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柴崎が堪能した故郷の味。テネリフェ島の日本料理店で見せたピッチ外の素顔【現地取材】

text by 舩木渉 photo by Wataru Funaki

本格的な日本の味に「幸せそうだった」

料理
左上から「つみれ汁」「みそ汁」「焼いた天然スズキのキノコ添え」「地鶏の焼き鳥」【写真:舩木渉】

 次に運ばれてきたのはみそ汁だ。日本人にとっては“おふくろの味”。ゆえにスペイン人の作るみそ汁だろうと少し舐めていた。実際に飲んでみると、濃いめの味噌とだしの味が絶妙で、わかめや豆腐も日本のものと遜色ない。細く刻まれたネギがいいアクセントになり、まるで日本にいるかのような感覚になった。

 この日のメインは「焼いた天然スズキのキノコ添え」である。運ばれてきてまず驚いたのは、ヨーロッパでほとんど見かけることのないレンコンが使われていたことだった。

 レンコンを食べるのは日本や中国くらいで、世界的にはほとんど食べられていないと聞いていた。まさかスペイン本土から離れたテネリフェ島で薄切りにして揚げたレンコンを見るとは予想していなかった。

 肝心の天然スズキの身は柔らかく、醤油、酒、だしのみというシンプルな味付けが魚の旨味をよく引き出していた。添えられた数種類のキノコにもつゆの味がよく染みており、食がすすむ。願わくば白米と一緒に食べたいところだった。

 最後に食べたのは「地鶏の焼き鳥」だ。鶏肉は弾力があり、タレの味は甘め。串の下には焼いた石が置かれ、熱々かつ焦げも絶妙な状態で配膳されてきた。日本で食べるモモ肉の焼き鳥などとは少し違ったような気はしたが、味は絶品だった。

 全ての料理を食べ終えた後、オーナーのロロさんに来店した際の柴崎の様子について尋ねてみた。すると我々メディアや、日本で少ない情報から状況を推測するしかないファンが抱く「現在の柴崎岳」とは違う素顔が見えてきた。

「ガクはこの店に初めて来た時、すべての環境が変わったばかりの頃だったし、『ここでは何が起こるんだろう』という感じで少し怯えた様子だった。でも、3回目だった昨日(23日)は笑顔も見られた。幸せそうだったよ」

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