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柴崎岳、“希少性”を武器にテネリフェで輝けるか。監督の頭を悩ますインテンシティ問題

新天地テネリフェで待望のデビューを果たした柴崎岳だったが、次の試合では出番を与えられなかった。ゴールが必要な展開でホセ・ルイス・マルティ監督に二の足を踏ませたのはなぜだろうか。今後、出場時間を伸ばせる見込みはあるのだろうか。異国の地で飛躍のきっかけを掴もうともがく日本人司令塔の現在地を分析する。(文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

柴崎がカディス戦に出場できなかったワケ

柴崎岳
ベンチ入りした柴崎岳だったが、カディス戦では出番を与えられなかった【写真:Getty Images】

 柴崎岳になぜチャンスが与えられないのか。今後は出場機会が増えるのか。

 2017年3月26日に行われたラ・リーガ123(スペイン2部)第31節、テネリフェの柴崎岳はカディスとのアウェイゲームに帯同したものの、出番が回ってくることはなかった。

 試合後にクラブ公式サイトなどに掲載された記者会見でのコメントを読むと、テネリフェのホセ・ルイス・マルティ監督は「柴崎には最後に出場機会を与えることを考えていたが、ゴールが決まったため別の交代をすることに決めた」と語っていた。ところが、アマス・ヌディアイエの決勝点が生まれたのは86分だった。

 つまり元々終盤の数分間しか起用するつもりがなかったということだろう。第30節のレウス・デポルティウ戦では73分からチャンスを与えられ、カディス戦でさらに出場時間が伸びることも期待されただけに、疑問に思ったファンは多かったかもしれない。

 だが、カディス戦に限っては柴崎を起用しづらい理由が揃っていた。まず1つは、前節レウス戦を0-1で落としていたことが挙げられる。第29節終了時点で、4位のテネリフェは3位のカディスと1ポイント差、5位のレアル・オビエドとは勝ち点で並んでいた。

 オビエドが第30節でラージョ・バジェカーノに敗れたことによって救われたが、いつ昇格争いからこぼれ落ちてもおかしくない状況で11位のレウスに敗れたのはあまりに痛かった。もし勝利していれば、3位カディスとの直接対決で順位をひっくり返すことも可能だった。勝ち点差は4ポイントに広がってしまい、大きなチャンスをフイにしてしまった。

 そしてカディス戦の次がオビエド戦と、昇格を目指す上で是が非でも勝たなければならない試合が続いている。新加入でまだチームやリーグに馴染めていない柴崎を起用するにはリスクが大きすぎる状況。レウス戦は同点ゴールが欲しい場面で最後の攻撃的な交代カードとして投入されてミッションを達成できていなかっただけに、カディス戦で出場時間を伸ばすのは難しかった。

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