フットボールチャンネル

柴崎岳、“希少性”を武器にテネリフェで輝けるか。監督の頭を悩ますインテンシティ問題

text by 舩木渉 photo by Getty Images

喫緊の課題は2部特有の「インテンシティ」

カディス
カディス対テネリフェではピッチ上のいたるところで肉弾戦が繰り広げられた【写真:Getty Images】

 2つ目の理由はカディス戦の雰囲気にあった。序盤から両チームともヒートアップし、球際の局面では“やられたらやり返す”ファウルの応酬。前半の35分にはテネリフェのベンチに座っていたカルロス・ルイスが警告を受け、試合終了までに両チーム合わせて8枚のイエローカードが提示される激しい試合だった。

 柴崎が初めてベンチ入りした第28節のヘタフェ戦後、テネリフェのマルティ監督は「今日はデビューさせない方がいいと思った。特に試合のインテンシティを見て、適切ではないと考えていた」と起用に至らなかった理由を説明していた。

 この試合も計9枚のイエローカードが飛び交い、後半アディショナルタイムにはヘタフェの控えGKビセンテ・グアイタにレッドカードが提示された。2-2という点の取り合いだったことも含めて、スペイン2部未経験の柴崎が途中出場でリズムをつかむのは難しかったに違いない。

 静かな展開だったレウス戦は同点ゴールが欲しい場面で起用された柴崎。73分の時点でテネリフェはすでに交代枠を2つ使い、疲弊した両サイドに新たな選手を配置していた。ベンチメンバーで残された最後の攻撃的なカードだった日本人司令塔は決定的な仕事を期待されて中盤に投入されたが、その役目を果たせたとは言い難い。

 やはり足元の技術の安定感はチーム内でも群を抜いているが、柴崎は比較的プレッシャーの弱くなった低めの位置でのプレーが多かった。中盤の底から的確にパスを配球したものの、自ら危険な位置に入り込んでいく動きは少なく、相手が怖がるエリアで決定的なパスを通す場面はほとんどなかった。

 1部に比べてフィジカルコンタクトが多く、かつ激しくなるテンポの速い試合でのパフォーマンスに、指揮官は疑問を持っているのかもしれない。ヘタフェ戦での起用見送りや、レウス戦でのプレーを総合すれば、インテンシティの不足は今後に向けた大きな課題と言える。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top