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香川、待望のリーグ初得点。出場機会激減から340日ぶりゴールまでの“逆襲劇”

text by 編集部 photo by Getty Images

香川真司
今季リーグ戦初ゴールを決めたドルトムントの香川真司【写真:Getty Images】

 ドルトムントは現地時間4日、ドイツ・ブンデスリーガ第27節でハンブルガーSVとホームで対戦。香川真司のゴールなどで3-0の勝利を収めた。

 香川にとっては、待望の今季リーグ戦初ゴールだった。81分、ガボン代表FWピエール=エメリク・オーバメヤンが左サイドを突破してゴール前にパスを送ると、後ろから走り込んできた香川が押し込み、ドルトムントは2-0にリードを広げた。香川は先制点となるFKの獲得、ダメ押しとなるオーバメヤンのゴールをアシストするなど全3得点に絡む活躍を見せている。

 昨季は9ゴール、一昨季は5ゴールとリーグ戦でコンスタントに得点を積み上げてきた香川だったが、リーグ戦のゴールは昨年4月30日以来実に340日ぶりである。

 今季の香川は出場機会に苦しんでいた。第27節時点で先発出場は9試合。昨季の同時期までで20試合に先発していたことを考慮すると、チーム内の立場が安泰ではなくなっていることが分かる。

 今年3月、チャンピオンズリーグ1回戦2ndレグのベンフィカ戦に勝利し、3年ぶりとなる準々決勝進出を決めた直後にも、出場わずか10分間にとどまったことで「今日はやめよう。何もしゃべることがないから」と無言を貫き悔しさを滲ませていた。

 しかし、ここから香川の“逆襲劇”が始まる。直後に行われた第24節ヘルタ・ベルリン戦でドルトムントは1-2の敗戦を喫するも、同点ゴールをアシストした香川は現地メディアから「敗戦したドルトムントの明るいスポット」「ドルトムントでベストな攻撃プレーヤー」と称賛を受けた。

 日本代表でも出場機会を得ることに苦しんでいたが、ホームのタイ戦では先制点を記録。ワールドカップ出場を大きく手繰り寄せた貴重なゴールは、香川にとって今回の最終予選初ゴールでもある。

 代表戦での勢いを維持した香川は今月1日、ドイツ国内でも屈指のダービーマッチとされるシャルケとの“レヴィアダービー”でオーバメヤンの先制点をアシスト。相手DFラインの裏に完璧に抜け出し、あとは触るだけというパスを届けた。

 シャルケ戦では複数の現地メディアからチーム最高評価を受け、ハンブルガーSV戦でもブンデスリーガ公式サイトが選出するMVPにも輝いた。ヘルタ戦からハンブルガーSV戦まで4試合連続の先発出場を果たすなどチームでの地位を掴みかけている。

 勝利したドルトムントだが、来季のチャンピオンズリーグ本戦出場圏内となる3位のホッフェンハイムとは勝ち点差1の4位のまま変わらず。2位のライプツィヒとは勝ち点差2(1試合未消化)と、リーグ終盤にも勝ち点を落とせない試合が続く。

 そんな中で、好調を取り戻してきた香川。リーグ戦初ゴールに、スタジアムには「カガワ・シンジ」のコールが鳴り響いた。世界でも屈指の熱狂的なサポーターを誇るドルトムントのスタジアムで、香川の名前はあと何度轟くことになるのだろうか。

【了】

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