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それでもテリーが愛された理由。非道と言われようとも…チェルシーファンが注ぐ盲目の愛

text by 山中忍 photo by Getty Images

国内外で14もの主要タイトルを獲得。「多国籍軍」と呼ばれるチームの支柱に

ジョン・テリー
デビュー間もない1999/2000シーズンのテリー【写真:Getty Images】

 そもそもテリーは、強烈な仲間意識を覚えずにはいられない14歳からのチェルシー生え抜き。しかもイングランド人。1軍定着前の1999/2000シーズンの頃から、テリーの途中出場時にホームの観衆が送る歓声と声援は、並の外国人戦力に対するそれを凌いでいた。

 期待に応える実力は、19歳で迎えた翌シーズンの1軍戦力化が物語る。国産CBらしい力強い守りと体を張る勇気。98年のデビュー前年まではMFだったテリーには、イングランド人DFとしては珍しい左右両刀の足下の技術もある。

 加えて、マルセル・デサイーやフランク・ルブフというW杯優勝経験者とのコンビでも物怖じしない心臓の持ち主でもあった。最盛期にはメディアで「人造人間」と呼ばれ、クラブ歴代3位の通算713試合出場(本稿執筆時点)を記録している裏には、「将来的に車椅子でも構わない」との覚悟で体に無理を強いた献身もある。

 その間に国内外で獲得した主要タイトルの数は14。そのうち13冠は主将として勝ち取った栄冠だ。04年に始まったチェルシー黄金期は、同年に監督となったジョゼ・モウリーニョが築いたと理解されているが、実質的には同年から正式にキャプテンマークを付けて統率力を発揮し続けた「テリーの時代」だとも言える。

 ファンにすれば、巷で「多国籍軍」と呼ばれるチームの支柱が「ミスター・チェルシー」だったことが、クラブ史上初のプレミアリーグ2連覇を含む戴冠の喜びと感慨を増した。

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