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CL4戦連続弾の大爆発、モナコの18歳FWムバッペとは何者か。仏史上屈指の才能、超ド級の期待感

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

スポーツ一家に育ったムバッペ。メディア対応からも感じ取れる成熟度

3月にはフランスA代表デビューも果たしたムバッペ
3月にはフランスA代表デビューも果たしたムバッペ【写真:Getty Images】

 体育会系の家庭に育ち、カメルーン出身の父はムバッペも通った地元サッカークラブのコーチ、アルジェリア人の母はハンドボールのプロ選手だ。

 両親が里親となった元ザイール代表ジャン・ケンボの息子、ジレス・ケンボ・エココとは兄弟同然に育った。ムバッペより10歳年上の彼はレンヌを経て、いまはUAEのクラブでプレーしている。

 ムバッペから”成熟さ”を感じるのは試合中の、ゴール前での沈着冷静なプレーだけではない。記者との受け答えやインタビュー時の落ち着いた話しぶりには、長年修羅場をくぐり抜けてきたベテラン選手並の風格がある。

 3月の国際マッチデーで晴れてA代表にデビューした時は、彼の生声を聞こうと報道陣が山のように押し寄せたが、おびただしい数のカメラやマイクを前にしたムバッペの第一声、冷静な分析をもとにした発言内容、そして立ち居振る舞いには、正直びっくりだった。

 昨年25歳で代表デビューしたエンゴロ・カンテがスタッド・ド・フランスのミックスゾーンで初めてマイクを向けられたときの様子があまりにも初々しく、その印象が頭にあったからでもある。

「あの…はい。えっと、はい、うれしいですっ…えっと、がんばりますっ!」といった感じの受け答えで頬を赤らめながらカンテは話した(カンテはこの初々しい謙虚さゆえに「まるで天使!」と地元記者からの人気は絶大である)。

 ところがムバッペは、「ええ、そうですね。いやしかし……。はい。ですが……はい。今後も成長を目指します。では、これにて失礼」というような、たとえるならデキるビジネスマン風の受け答えだったのである。

 練習時などは年相応の表情も見せるが、同時に老成さもある魅惑の18歳。ガベ記者がこれまで彼のような選手を見たことがないと言ったのも決して誇張ではない。

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