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メッシが見る異次元。真正面から受けて立ったレアル、サッカーの魅力示したクラシコに【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

メッシとともにいる幸運と不運

メッシはラストプレーで決勝ゴールを奪った
メッシはラストプレーで決勝ゴールを奪った【写真:Getty Images】

 67分にはロナウドの決定機。右を抜けたアセンシオから丁寧なラストパスが出るが、ロナウドは倒れながら合わせたシュートを打ち上げてしまう。いつものロナウドなら確実に決めそうなチャンスだった。

 ボールの下を叩いてしまえば、スーパースターでも素人でも同じミスになるからボールは平等だ。至近距離からのシュートは転がしても入りそうなものだが、あえて少し高めに蹴って確実にGKを外そうとしたのだろう。予定より何センチずれたのかはわからないが、ロナウドの日ではなかったようだ。

 すると、それまで眠っていたスアレスの右足からスーパーな一撃が飛ぶ。イニエスタからのアウトサイドの浮き球をシュート。どうみても打ち上げそうなシュートが枠へ行く。GKナバスがスーパーセーブで応える。

 ラキティッチの逆転弾、ラモスの退場、しかし途中出場のハメス・ロドリゲスが意地の同点。テア・シュテーゲンの肩口を狙った決断力は見事だった。10人のレアルにとっては引き分けで十分だったのだが、ロスタイムにメッシがジョルディ・アルバのプルバックをピシャリと決める。

 セルジ・ロベルトの自陣からの持ち出しが効いていて、レアルはゴール前で数的不利に陥っていた。だから肝心要の瞬間にメッシがフリーだった。

 メッシが上手く隠れていたともいえる。最後の瞬間まで、逆サイドで目立たないようにしていた。それでも味方が自分を探してくれると知っているからだろう。バルサでは全員がメッシを感じながらプレーしなければならない。それだけの期待と責任を背負って難なく決める、この選手と同時代に同じ場所でプレーする幸運と不運がフィールドで交差していた。

(文:西部謙司)

【了】

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