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柴崎岳、1部昇格への正念場。PO初戦で「違い」作れず。勝利のために必要な割り切り

text by 舩木渉 photo by Getty Images

誤審に救われたテネリフェ。試合内容は次戦に不安残す

 前半最大のピンチは14分、コーナーキックの場面だった。カディスのDFアリダネ・エルナンデスがヘディングシュートでゴールネットを揺らしたが、主審はペナルティエリア内でファウルがあったとして得点を取り消した。

 しかし、実際にゴール前で倒れたヘルマン・サンチェスはバックステップ中に足がもつれた、あるいは相手DFハリファ・サンカネの足につまづいた程度で、ファウルの判定は明らかな誤審だった。テネリフェは審判に救われた。

 テネリフェは守備もハマらない。強烈なプレスでボールを奪いにくるカディスは、その勢いのままカウンターを仕掛けてくるが、テネリフェの守備は後手に回ってしまう。柴崎もかねてより指摘されていた守備の拙さが表出してしまった。

 体を寄せきれず簡単に前を向かれてしまったり、後ろから追って無理にスライディングを仕掛けてかわされてしまったり、ボランチとして防波堤になることはできなかった。攻撃にエネルギーを割けなかったため、前半途中からポジションを少し前に移さざるをえなかったのかもしれない。

 後半になってもカディスのペースが続く。テネリフェはとにかくセカンドボールを全て相手に拾われてしまい、波状攻撃を受けた。柴崎はトップ下のような配置になり、攻撃の起点になろうと試みたが、ほとんどボールに触るチャンスはなかった。

 59分にはサルビ・サンチェスのミドルシュートがゴールポストを叩くなど、テネリフェはいつ失点してもおかしくない状況。そんな中、64分に衝撃の一発がゴールに突き刺さった。アゴル・アケチェが40m級の弾丸ミドルシュートを決め、カディスがついに先制に成功する。今季数々のピンチをその腕で救ってきた守護神ダニ・エルナンデスも成す術なしの見事な一撃だった。

 その直後、テネリフェのホセ・ルイス・マルティ監督はアーロン・ニゲスを下げてアルベルト・ヒメネスを投入する。左サイドのキーマンだったアタッカーに代えて守備的MFを入れることで中盤を厚くし、相手の流れを断ち切ろうという狙いだろう。これに伴い柴崎はサイドへとポジションを移した。

 結局スコアこそ最少得点差の0-1だったが、テネリフェは終始主導権を相手に握られたまま敗れた。ホームでの2ndレグに向けて悲観的になる結果ではないとはいえ、試合内容には不安が残る。

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