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柴崎岳、現実味帯びてきた1部昇格。大一番で決定的な活躍、もはや完全なキープレーヤーに

text by 舩木渉 photo by Getty Images

大一番で活躍してきた実績。第2戦でもかかる期待

柴崎岳
柴崎岳がテネリフェを1部昇格へ導くキーマンとなる【写真:Getty Images】

 中3日で迎える次の試合で、テネリフェは今季ホームで圧倒的な強さを発揮してきたヘタフェの本拠地に乗り込む。現在ジェフユナイテッド千葉を率いるファン・エスナイデル監督の下、シーズンのスタートダッシュに失敗して一時は21位まで沈んだヘタフェは、監督交代とともにチームを立て直し怒涛の勢いで3位まで駆け上がった。その快進撃を支えたのがホームでの強さだった。

 ヘタフェのレギュラーシーズンにおけるホームとアウェイでの成績を比較すると、下記のようになる。

ホーム:13勝7分1敗 34得点13失点
アウェイ:5勝7分9敗 21得点30失点

 これだけ露骨に差が出ると、対戦相手の心理に影響がないとは考えにくい。テネリフェも25日のアウェイゲームでは、これまで以上に慎重な戦い方を選ぶことになるかもしれない。

 だが、ここで必要以上に相手を恐れるような姿勢を見せてしまえば、ヘタフェの思う壺だ。テネリフェはアウェイゴールを許さず2ndレグに挑めるポジティブな要素も考慮して、前半から積極的に前に出ていくべきだろう。

 仮にアウェイで先制できれば、いくら圧倒的な強さを見せてきたと言っても、ヘタフェは勝利のために3ゴールが必要になる。まずはアウェイゴールを先に奪いにいくことがテネリフェの最重要ミッションだ。

 そしてカディス戦で犯した失敗を繰り返してはならない。守備的に試合に入れば、ヘタフェの強力攻撃陣が襲いかかってくる。

 1部昇格を決める運命の2ndレグで、鍵を握るのはやはり柴崎の活躍だろう。特に昇格プレーオフに入ってからは、紛れもなく冬に加入した日本人司令塔の活躍がテネリフェを勝たせている。彼のテクニック、ひらめき、卓越したプレービジョンをフルに発揮できれば、テネリフェの攻撃のクオリティは格段に上がる。

 そして柴崎の強みは、鹿島アントラーズで数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験だ。幾度もタイトルをかけた大一番を経験し、厳しい優勝争いに身を置き、クラブW杯ではレアル・マドリー相手に2ゴールを奪って強心臓ぶりを世界に見せつけた。

 これまでの経験は1部昇格プレーオフの舞台でも役に立つはず。柴崎がテネリフェを7年ぶりの1部の舞台に導く、そんなシナリオがいよいよ現実味を帯びてきた。

(文:舩木渉)

【了】

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