天皇杯で“ジャイキリ”に迫った「アマチュア最強クラブ」。Honda FCが挑んだ磐田戦

2017年06月23日(Fri)11時49分配信

text by 青木務 photo Tsutomu Aoki
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アマチュアクラブにとっての天皇杯

 日本サッカーリーグ時代に盛り上がりを見せた『天竜川決戦』が背景にあったことで、磐田との一戦が選手たちの士気をさらに高めた面はあった。それ以前に、そもそもプロ・アマ問わず真剣勝負を挑める場は天皇杯の他にない。企業チームであるHonda FCの面々にとって、この舞台へのモチベーションは非常に高い。鈴木はこう語る。

「例えば練習試合でジュビロが主力を出してきたとしても、そしてそこで勝ったとしてもやっぱり全然違う。でも天皇杯となったら、どんなメンバーだとしても出場する人たちはみんな本気で来るじゃないですか。そういうのはこの大会でしか味わえないので、僕たちにとって貴重なこと。真剣勝負の中の駆け引きだったり、技だったり、そういうものが観ている人をワクワクさせると思う」

 彼には、ある試合の記憶が鮮明に残っている。

 前回大会の4回戦、Honda FCはベスト8進出を懸けてFC東京戦に臨んだ。自身にとって初めての天皇杯だった。

 先制して迎えた51分に同点ゴールを許してしまうのだが、そのシーンを今でも思い出すのだという。

「僕に当たって失点したんですよ。あの場面は、もう一歩寄せていれば失点にはならなかったと思う。そういうところの違いは個人的にすごく感じました」

 FC東京の中島翔哉が放った振り向きざまのシュートが鈴木の体に当たると、コースが変わりGKの逆を突く形でゴールに吸い込まれていった。

「あと一歩、あと半歩という距離。『ここは打ってこないだろう』という距離からでもJ1は打ってくる。そういう面であのFC東京戦は、自分の甘さをすごく痛感した試合でした」

 あの試合では、1失点するとチームが浮き足立つ場面もあった。しかし今大会、磐田戦で慌てた者は鈴木を含め一人もいなかったはずだ。先制されようが変わらぬ姿勢で戦い、ボールを動かし、マークを剥がし、2度も試合を振り出しに戻したのだから。

 味の素スタジアムでの敗戦は選手たちに経験を与え、より逞しくさせたと言えるだろう。

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