「アンタッチャブルな存在」を作らなかったコンテの采配
ジエゴ・コスタは非常にタフで狡猾な選手ですが、守備についてはやるときはやりますけど、基本的には歩くことが多いです。加えて攻撃面では後ろ向きのプレーが苦手で簡単にボールを失うことも多い。
彼にボールが入った時は全体が押し上げていく状況になりますが、逆にそこで失ってしまうと全体が置いていかれてしまう。中盤の能力と最終ラインの連携で何とかカバーする場面も結構多かったですから、選手としてのバランスに若干偏りのあるジエゴ・コスタがコンテ監督の来季の構想に入っているのかどうかは未知数です。
おそらくですが、コンテ監督は1トップのところはかなり我慢してたのではないかと思います。一方でアザールは守備に目をつぶっても、どの局面でも違いを作れますから当然外せない選手となります。そんな彼でも後半途中で試合を確実にまとめていきたい場面ではベンチに下がることがありました。
何があっても代わることがない選手というのは世界に何人もいないですから。
そういう意味ではジエゴ・コスタもアザールも、共にすごい選手ではありますが、コンテ監督にとってはアンタッチャブルな存在ではなかった。もちろん当たり前にコミュニケーションを取ってそれぞれの特徴を引き出すマネジメント作業はしていたと思いますが、何があっても使い続ける選手ではなかったということだと思います。
少し話を変えてみますが、監督によって見え方が変わるというところではダビド・ルイスがいます。
以前チェルシーに在籍していた時は4バックの中央でやっていて、どちらかというと自由にふるまいたがる選手でした。優れた攻撃センスを持った選手ということもあり、時にポジションから外れて攻撃参加する、いわゆるイングランドの4バックにマッチしないタイプのセンターバックだったのでしょうが、3バックの真ん中であれば彼のような攻撃の能力も持った選手でなければ機能しません。
コンテ監督の指導を受けて「FWとの駆け引きやゲームの流れが分かるようになった」というコメントを読んだこともありますが、確かに以前に比べて冒険しすぎないソリッドなDFに変わったと思います。その上で攻撃面でもビルドアップからフリーキックまで幅広くチームに貢献することができます。
このダビド・ルイスがいたということも今季のチェルシーにとっては非常に大きかったですし、彼がいなければコンテ監督の3バックはできなかったでしょうね。