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【戸田和幸の眼】チェルシーを躍動させたコンテのマネジメント。布陣変更が分岐点に【16/17シーズン総括】

シリーズ:16/17欧州主要クラブシーズン査定 text by 戸田和幸 photo by Getty Images, Natsuki Nakazawa

MVPは迷わずコンテ。適材適所の人員配置がもたらした優勝

チェルシー
チェルシーの16/17シーズン基本フォーメーション

 どうしてもサッカーが足元ばかりとなり個の力頼みになっていた昨季はペドロも徐々に輝きを失ってしまい非常に苦労したと思いますが、彼の強みは抜群の技術とクイックネスを持ちつつグループの中で動くのがものすごく上手いところです。その上でハードワークできる。

 実際に守備では彼が前線にいる誰よりも素早く切り替えてプレスをかけ、ポジションを埋めていました。ジエゴ・コスタがいてアザールがいたら、やはりもう1人はウィリアンではなくペドロだというコンテ監督の選択はごく自然なものだと思いますし、もちろん攻撃面でも高い技術とオフ・ザ・ボールの動きを巧みに使いながら自らと味方を生かす働きをシーズン通して見せてくれたと、非常に高く評価されるべきシーズンだったと考えています。

 選手というのは監督によって輝いたり、輝けなくなったり、出番がもらえたりもらえなくなったりするところはありますよね。個人がいてチームがある、しかしチームがないと個人は輝かない。

 実際に4バックで戦っていた時期はカンテすら現地メディアに批判されていましたから。しかし、陣形を変え、個々の役割をハッキリさせると、チームを機能させる方向に各々が持っている能力とエネルギーを使えるようになりました。

 その結果あれだけのパフォーマンスを見せることにつながりましたし、圧倒的な評価までに至ったわけですから、今季のMVPを挙げるとすれば僕は迷わずコンテ監督を選びます。最後にFA杯を獲れなかったのは残念だったと思いますが、そうだとしても最高の評価を得るのに十分なシーズンだったのではないでしょうか。

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(解説:戸田和幸/構成:フットボールチャンネル編集部)

【了】

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