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【倉敷&玉乃の眼】アトレティコ、未来につながる1年。苦難を乗り越えたシメオネの魔力【16/17シーズン総括】

シリーズ:16/17欧州主要クラブシーズン査定 text by 編集部 photo by Getty Images

「フェルナンド・トーレスは神」(玉乃)

トーレス
玉乃氏はユース時代からの“親友”フェルナンド・トーレスにまつわるエピソードを語った【写真:Getty Images, 中澤捺生/ジュニアサッカーを応援しよう!編集部】

ーー控えのミゲル・アンヘル・モヤもいい選手ですし、以前在籍していたティボ・クルトワ(現チェルシー)やダビド・デ・ヘア(現マンチェスター・ユナイテッド)もアトレティコから巣立って素晴らしい活躍を披露しています。

倉敷 今はGKコーチではありませんけど、元リーベル・プレートのGKであるヘルマン・ブルゴスがどんな話をするのか。彼はシメオネと一緒にお金をもらってやっていますけど、アトレティコには無職の時から来ていたそうです。「水曜日のブルゴス」か「木曜日のブルゴス」か忘れましたけど、あだ名がついていて、ユースの練習にフラッとやってきて勝手にコーチして帰っていったんですって。今アトレティコにいる選手の何人かはその頃からブルゴスに面倒を見てもらっていたと思います。彼もまたアトレティコと共に生きているんですよ。

ーーアトレティコの象徴的な選手であるフェルナンド・トーレスも、シメオネの下で復活しました。ファンにとっても嬉しいことですよね。

玉乃 いやー、嬉しいでしょうね。多少調子が悪くてもトーレスだけはシメオネやアトレティコという、クラブを超えた存在なんです。リバプールへ移籍した後もアトレティコのロッカールームやホペイロの部屋はトーレスのポスターが張られていました。スタジアムへ行くと、必ずトーレスの話になるんですよね。それくらいクラブにとって大きな存在で、トーレスはある意味で神ですよ。

倉敷 フェルナンド・トーレスって昔のアルゼンチンにいた選手とすごく似ていると思うんですよ。アルゼンチンでは若手が下部組織からトップチームへ上がってくるときに、いわゆる「インチャ」と呼ばれる熱心なサポーターたちが、「ほら指輪やるよ」「時計やるよ」といって手なずけておいて、大きく育った時にたかる風習があるんですよ。

 玉乃さんは知っていると思うけど、トーレスはアトレティコの下部組織の時に「もらいまくっていた」子なんですよ。アトレティコのコアなサポーターの中にはトーレスに恩を売った人がたくさんいるので、彼がが残留したり重要な人物になったりすると嬉しくて仕方ないんですよね。もしクラブW杯にアトレティコが行くとしたら、「トーレスが飛行機代を半分出してくれる」とか、そういうことを考えているかもしれないくらいの人がたくさんいると思います。

玉乃 もう絶対うれしくて仕方ない。「トーレスが出ていくならソシオをやめる」という人もたくさんいると思いますよ。

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