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堂安律、オランダで見つけた成功への道標。フローニンゲンが描く壮大な夢の一部に?

U-20W杯で活躍し、ガンバ大阪からオランダ1部のフローニンゲンへと移籍した堂安律。新天地での挑戦をスタートさせた19歳は、移行期を迎えたクラブでどれほどの活躍が見込まれているのだろうか。欧州でのキャリアを成功させるために何が必要なのか。そして、フローニンゲンが思い描く夢のあるストーリーの一部になれるのだろうか。(取材・文:中田徹【フローニンゲン】)

text by 中田徹 photo by Getty Images

フローニンゲンの夢…レジェンド・ロッベンの帰還

ロッベン
フローニンゲン時代のアリエン・ロッベン。退団から15年経っても古巣との絆は残っている【写真:Getty Images】

 ハンス・ナイラント社長とともに大阪へ飛び、堂安の獲得にあたったペーター・イェルテマTM(テクニカル・マネージャー)はすでに9月1日で退団することが決まっている。後任のロン・ヤンスは1年契約だが、ナイラント社長は長くクラブに留まってくれることを望んでいる。

 ヤンスは80年代前半にフローニンゲンがUEFAカップで活躍した頃の左ウィンガーだった。やがてフローニンゲンは低迷期を迎えたのだが、ヤンスは2002年10月から監督に就任してチーム内外のネガティブムードを吹き飛ばし、再びフローニンゲンをサブトップ(中堅上位クラブ)に引き上げた。

 クラブ責任者として20年、社長を務めるナイラント、そしてチーム力を引き上げたヤンスの2人は、現在のフローニンゲンを築いた立役者と言える。

 そして、もう1人、フローニンゲンと赤い糸で結ばれた人物がいる。それはアリエン・ロッベン(現バイエルン・ミュンヘン)だ。2000年、当時16歳でトップチームに昇格したロッベンは、プロ1年目にしてチーム内MVPに選ばれ、2シーズンだけフローニンゲンでプレーすると、PSV、チェルシー、レアル・マドリー、バイエルン・ミュンヘンとビッグクラブで活躍し続けた。オランダ代表でも今なお欠くことの出来ないレジェンド、ロッベンは頻繁にノールトリース・スタディオン(フローニンゲンの本拠地)を訪れている。

 いずれ、ロッベンがフローニンゲンに戻って何か役職に就くことは、ナイラント社長もロッベン本人も願っていることだ。しかし、ナイラント社長の夢は、ロッベンが現役最後のシーズンをフローニンゲンでプレーすることである。

 引退間際にロッベンがフローニンゲンに!? いや、それはありえない……。そんな話がまたオランダで再燃するだろう。堂安を追う日本人ファンにとっても夢のある話だ。

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