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堂安律、オランダで見つけた成功への道標。フローニンゲンが描く壮大な夢の一部に?

text by 中田徹 photo by Getty Images

移行期にあるフローニンゲン。堂安にチャンスあり?

 ちょうど新旧テクニカル・マネージャーのイェルテマとヤンスの端境期にあたる、この夏の移籍市場だが、かなり高い確率でミムン・マヒがチームを去りそうな雰囲気だ。先の冬の市場ではマヒに対するフルハムからのオファーを断ったフローニンゲンだが、今回はブルサスポル(トルコ)や複数のチャンピオンシップ(イングランド2部)のクラブからオファーが届いているようで、7月22日のプレシーズンマッチ・グラナダ戦ではベンチスタート、26日の練習は病欠した。

 元々フローニンゲンの攻撃陣は少数精鋭主義で、層はかなり薄い。ストライカーはラルス・フェルトワイクとトム・ファン・ウェールトがいるが、トップ下やサイドハーフとなるとウサマ・イドリッシ、イェスパー・ドロスト、堂安律、マヒと駒の数は乏しい。もし、彼らに何か起これば若手選手を抜擢するしかない。自ずと堂安には多くの出場機会が与えられるだろう。

 7月22日にフローニンゲンは、地元ノールトリース・スタディオンでグラナダ(スペイン2部)とプレシーズンマッチを行い、2-2で引き分けた。フローニンゲンのフォーメーションは4-4-1-1で、堂安は右サイドハーフとしてプレー。トップ下をドロスト、左サイドハーフをイドリッシが務め、ストライカーには今季加入したばかりのフェルトワイクが入った。
 
 前半、フローニンゲンが決めた2ゴールには、彼らの特徴がよく出ていた。9分、イドリッシの先制ゴールは、身長190cmの巨漢ストライカー・フェルトワイクの良さが出たもの。右SBマイク・デ・ウィーリクの縦パスを、フェルトワイクは巧みに右足ヒールでコントロールし、豪快なシュートでGKを襲った。このこぼれ球にイドリッシが詰めたのだ。

 15-16シーズン、ズウォーレ時代に14ゴール9アシストを決めて、ノッティンガム・フォレスト(イングランド)、コルトワイク(ベルギー)と海外に挑んだが結果を残せず、昨季後半戦からノルウェーリーグのオーレスンで復調を果たしてから、フローニンゲンに加入した。その馬力はグラナダのDFをパニックに陥れることもあり、サポーターもかなり驚いていた。正真正銘のストライカーを得て、今季のフローニンゲンには攻撃のバリエーションが増えるはずだ。

 2点目は、昨季の特徴でもあったテクニシャンたちのショートパスによる崩しから生まれた。22分、ルックアップしながら堂安がボールを敵陣深い位置に持ち込むと、そこからドルスト→バクーナ→イドリッシ→バクーナと小気味よくパスが回って、中央からグラナダ守備網を突破してしまった。最後はバクーナが相手GKとの1対1を冷静に決めた。

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