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小林祐希が語る、名波浩の影響力。「とてつもなくデカい」。多方面にわたる変化のきっかけ【The Turning Point】

シリーズ:The Turning Point text by 海江田哲朗 photo by Wataru Funaki, Getty Images

日本代表の大枠30人ではなく18人に入りたい

「刺さった言葉はノートに書き留めています。これを言うのは恥ずかしい」

――ほら、せっかくそこにノートがあるんだし、御開帳といきますか。

「いや、それは」

――あ、ダメだぞ。その態度は小林祐希じゃない。

「簡潔に説明する。長いから簡潔に」

――どうぞ。

「おれは常に成長したい。常に新しいことを採り入れながら、せわしなく、ずっと自分と戦ってきた」

――はい。

「それを一回やめよう。無理に進まない。いったん立ち止まるということをトレーニングしています」

――それ、わりと読者に伝わりづらいね。

「たとえば、壁にぶつかったときゴリゴリいくのではなく、止まってみる」

――少しわかった。止まることによって、見えてくるものがある。

「意識的に止まる」

――さらに一歩下がれば、見通しが変わることも。

「いままでは強引に乗り越えようとしたけれど、やり方はひとつじゃない」

――あらためて踏み出した一歩によって、これまでとは違う景色が拓ける。

「けっして焦らない。焦っても焦らなくても過ぎる時間は同じ」

――ちょっと君、僕の言っていることは合っているのかね。

「合ってる合ってる」

――そういうところなんだよ、小林祐希。

「とにかく、それをいま意識しています。たくさんの人から訊かれるんですよ。どこを伸ばせば代表に定着できる? 来季もっと成長するには? そういった質問には、何もしないことですかね、我慢です、と答えています。

 現在の自分の取り組みは、全部正解だと思っているから。トレーニングはしっかりやっている。試合にも出られている。ヘーレンフェーンはいいチーム。食事も気をつけている。生活も見直した。何ひとつ間違っていない。

 どれほど突進したところで、ハリルホジッチ監督におれの声は届かない。大事なのは、目に留まるようなプレーをしていくこと。魂を見せつけること。そして、あとはチャンスがくるのを待つだけ。そのためには心を落ち着けて、物事に対処しないと」

――バックアップメンバーに選ばれるということは、構想の大枠には入っている。

「いつも30人には入っていると聞いています。おれは18人に入りたい。だから、関係者にはそんな報告はいらないと言っています。いつでも呼ばれたらちゃんとプレーできるから、本決まりになったら伝えてほしいと」

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