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内田篤人、U・ベルリンへ電撃移籍の感慨深さ。一般論で語れない感情の揺さぶり

text by 本田千尋 photo by Getty Images

シャルケを愛する多くの人たちに惜しまれる離別

シャルケとの離別を惜しまれた内田篤人(左)。ベルリンで新たな戦いに臨む
シャルケとの離別を惜しまれた内田篤人(左)。ベルリンで新たな戦いに臨む【写真:Getty Images】

 監督のプランに含まれていない選手が、出場機会を求めて他のクラブへ移籍する。フットボールの世界ではごく一般的なことだ。移籍市場のウィンドウが開いている間には、それこそクラスの席替えのように欧州中で選手たちが行き交うことになる。

 ただ内田の今回のケースが、そういったドライな移籍劇と少し違うのは、人々の感情を強く揺さぶっていることだろう。21日付の『レヴィア・シュポルト』電子版は、次のように記している。

「悲しい心、それをこの時代の1人のプロサッカー選手の移籍が残すのだろうか? アツト・ウチダの場合は全くもって確かにそうしたケースだった」 

 ルール地方の地元紙が、内田に惜別の念を抱いていることは間違いない。そしてそれは『レヴィア・シュポルト』に限ったことではないだろう。10年7月に加入して以来、7年間に渡って“ウッシー”の愛称で親しまれた内田。決して少なくはない数のシャルカーたちが、“離別”に「悲しい心」を抱いているはずだ。

 19日のブンデスリーガ開幕節、RBライプツィヒ戦の試合後に、ハイデルGMは「シャルケはアツト・ウチダのような選手を追い出したりはしない。だが、彼が新しいクラブを探す許可を願い出たならば、もちろん彼はそのチャンスを得る」とコメントを残した。

 「アツト・ウチダのような選手」とは、実績や実力だけでなく、ファンに親しまれる人間性を合わせ持ったサッカー選手のことなのだろう。

 こうして内田は、シャルケを愛する多くの人たちに惜しまれながら、ベルリンへ舞台を移すことになった。もう“ウッシー”はゲルゼンキルヒェンの練習場にはいない。ホームのフェルティンス・アレーナで、青いユニフォームを着ることもない。

 しかしシャルカーたちの心の中では、ノイアーやラウールと共に闘ったCL、そしてファルファンとのコンビで右サイドを駈け上がる内田が、永遠に躍動していくはずだ。

(文:本田千尋【ドイツ】)

【了】

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