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ペップ・シティ、「ハリルJ的な」リバプールを5-0撃破。ロベカル思わせるメンディ【西部の戦術アナライズ】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

どうみても判定が正しいマネ退場。ロベカルのようなクロス放つメンディ

 マネの退場については英国のテレビ番組などでも取り上げられ、シアラーやリネカーなど往年の名ストライカーは「レッドは厳しすぎる」と発言している。世論も分かれているようだ。

 これには少々驚かされる。まずルール上、どうみても判定は正しい。下手をすればエデルソンは再起不能の重傷を負っていたかもしれない。

「かつてはあれぐらいでも退場にはならなかった」「ストライカーとしては当然の行為」という声がけっこうあるのは、英国ならではの現象だろうか。ともあれ、プロサッカーは当たり前に命がけなのだということがよくわかるシーンだった。

 10人になったリバプールは4-4-1で構えるが、シティは51分にジェズスがヘディングで決めて2-0。後半に入ると、再びジェズス、交代出場のサネが2ゴールを追加。5-0でシティの大勝に終わった。

 シティの新加入選手、左ウイングバックのメンディから放たれる強烈なクロスボールが印象的だった。低くもの凄く速い。蹴ったときの音が他の選手とは違っていて、かつてのロベルト・カルロスを思わせる破格のクロスである。

 もっともメンディは味方からのパスをダイレクトで蹴っているのでボールに反発力がある。コースもDFとGKの間のワンパターンなのだが、それでも相当な威力だった。サネのチーム4点目をアシストしている。

 リバプールを撃沈させたシティではあるが、マネの退場がなければどうなっていたかはわからない。少なくとも5-0ではなかっただろう。スルーパスの名手であるデブライネ、シルバがいるので、彼らのパスから2トップの抜け出しは武器になっている。

 ただ、アグエロもジェズスも上背がないのでクロスボールは低いほうが合いやすい。その点でメンディの獲得はチーム事情にも合致しているようだ。

(文:西部謙司)

【了】

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