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Jリーグ 7年前

磐田入り内定、筑波大FW中野誠也が見せた期待感。天皇杯で得たに違いない成長の糧【カメラマンの視点】

9月20日、第97回天皇杯4回戦が行われ、ここまでJクラブとの対戦を繰り返しながらも勝ち進んできた筑波大学は大宮アルディージャとの一戦を迎えた。結果として0-2で敗れ、Jリーグ発足以来初となる大学勢の8強入りは叶わなかったものの、ジュビロ磐田への加入が内定しているFW中野誠也をはじめ、その高いポテンシャルを広く知らしめる戦いぶりを見せた。(写真・文:松岡健三郎)

シリーズ:カメラマンの視点 text by 松岡健三郎 photo by Kenzaburo Matsuoka

3回戦までに5得点を記録。勢いに乗っている中野

 9月20日に行われた第97回天皇杯4回戦。今大会、ここで注目すべくは筑波大学とJ3の長野パルセイロであろう。私はそのうち筑波大学-大宮アルディージャの1戦を撮影。

 この大会では弱者が強者に勝つ「ジャイアントキリング」がキーワードとして注目されている。

 4回戦まで勝ち上がった大学生だが、メンバーをよく見てみると、スタメン11人中10人がユニバーシアード代表を含めて、過去に日の丸を背負った経験者たちだ。

 全国大会優勝経験者もいたり、日本代表で海外経験もあったりとすでに経験値が高い。そんなタレントぞろいの筑波は決して弱者ではない。

 中でも注目が、FWの中野誠也。すでにジュビロ磐田入りが内定している選手だ。先月行われた、ユニバーシアードの日本代表としても、3大会ぶりの金メダル獲得に貢献した。

 天皇杯の初戦、J3のY.S.C.C.横浜戦で2得点。2回戦のベガルタ仙台で1得点。さらに3回戦でもアビスパ福岡相手に2得点とすでに5得点の活躍ぶり。福岡戦後には磐田へ特別指定選手(背番号37)として登録されるほど今もっとも勢いに乗っているFWだ。

 筑波は、中野を中央トップに据え、その後ろに三笘薫と戸嶋祥郎が近くでフォローする変則的な3トップに近い形。前半は大宮がボールを保持して、筑波がカウンターを仕掛ける展開が多かった。

 しかし、大宮はスタメンの多くが、試合から遠ざかっている選手ばかり。直近の試合で先発したのは山越康平のみで、中には3ヶ月以上試合から離れている選手もいた。試合勘の無さからか、なかなか攻撃のスピードが上がらずに前へ進めない。

 筑波は中野が中心となり、そこにプレスをかけ続けた。ときにはGKまで追い込み、大きく蹴らせて奪う場面もあった。筑波は奪ってから素早い攻撃で中野、もしくは両サイドの裏のスペースを狙った攻撃で前にボールを送る。しかし両チームともシュートまでは持ち込めないでいた。

 試合の流れがどちらに行ってもおかしくない試合展開だったが、前半28分に大宮がPKを獲得。多くの筑波応援団からのプレッシャーに負けず、清水慎太郎が落ち着いて決め、大宮が難なく先制する。

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