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香川真司 7年前

香川真司、芸術ループ生んだ悔しさ。突きつけられた「現状評価」への返答

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「レアル戦は悔しかった。受け入れるしかなかった」

香川真司
レアル戦出番なしも、直後に結果を残す【写真:Getty Images】

 日本代表MFの心の中では、この一戦に向けて期するところがあった。

「僕個人としては、この前のレアル戦を踏まえて、自分自身の現状評価が分かる試合だった分、今日の試合っていうのは、大事でした」

 4日前にホームで行われたチャンピオンズリーグ、レアル・マドリード戦。欧州最高峰の舞台、欧州最強との試合で、香川はベンチ入りしたが、最後まで出番は訪れなかった。大事な試合で必要とされない力。左肩の脱臼の影響で出遅れたとは言え、ごく乱暴に言ってしまえば、それがピーター・ボス監督の香川に対する「現状評価」だ。

「レアル戦を見たらね、誰もが今の現状を分かるというか。なので自分としてはすごく悔しかったですし、逆にそういう現状だと分かった分、それを受け入れるしかなかったので、それを踏まえての今日の試合でしたけど、だから、やるしかなかったですし、見せるしかなかったです」

 レアル戦で出場機会が無かったことによる、葛藤とフラストレーション。

「あの舞台で、あの相手に試合をやりたかった。その感情はありましたけど、ただ、次に向かわなきゃいけないし、終わったことに対して、ああだこうだ言っていても何の意味もないと思っていた」

 悔しさを糧に練習に打ち込み、気持ちを消化して迎えたアウクスブルク戦。香川は右インサイドハーフで先発出場する。開始早々から積極的にシュートを打つ。「攻守においてすごく強さを感じた」アウクスブルクを相手に、スペースを有効活用して、ボールを受け、展開し、攻撃のタクトを振るう。

 そして23分に生まれたのが、あの「美しい」ループだった。

「監督がかわれば、選手がかわるのも当たり前なので、そういう意味では結果を残すことで、自分の存在をしっかりと伝えていかないといけないですし、それは層が厚い分、今後も求められると思っている」

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