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代表 7年前

フランス、W杯へ不安要素も豊富すぎる人材。ムバッペが備える特大のポテンシャル

2018年ロシアW杯欧州予選を勝ち抜き、本大会出場を決めたフランス代表。終わってみればプレーオフを経ることなく出場権を獲得したが、EURO2016準優勝国は予選で厳しい戦いを強いられた。有力な選手を数多く輩出している人材大国だが、W杯に向けどれだけスケールアップができるだろうか。(取材・文:小川由紀子【フランス】)

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

2006年大会以来となるストレートのW杯出場権獲得

ベラルーシ戦で先制ゴールを決めたFWアントワーヌ・グリーズマン
ベラルーシ戦で先制ゴールを決めたFWアントワーヌ・グリーズマン【写真:Getty Images】

 ソロリソロリと始まり、サラっと終わった。そんな印象の試合ではあったが、フランスは、W杯欧州予選最終戦の対ベラルーシ戦に2-1で勝利し、来年のロシア行きを決めた。前2大会はプレーオフを経ての出場だったから、ストレートに決めたのは2006年大会以来だ。

 正念場ともいえる10月の2試合を迎える時点でフランスはグループ首位に立ってはいたが、2位のスウェーデンとの勝ち点差はわずか1。さらに9節のルクセンブルク戦にスウェーデンは8-0と大勝し(フランスは同じ相手にホームで0-0で引き分け)、得失点差ではスウェーデンが大きく上まわっていたこともあり、1位での予選突破のためには最終戦で勝つことが極めて重要だった。

 そんなプレッシャーもあったのか、相手に先制点をとられてはいけない、というような、慎重さで試合に入ったレ・ブルー。

「30分になってもノーゴールならリスクを負ってでも仕掛けていかざるをえないっ!」と記者席のフランス人たちがしびれを切らし始めたちょうどその頃、グリーズマンがマテュイディのパスから、相手GKの股下を抜く得意のシュートで先制弾(27分)。

 この得点でいくらか固さもとれて流動性も生まれると、6分後にはジルーがグリーズマンのパスを叩き込んで2点のリードを奪った。

 前半終了前に1点を返されて、後半戦はドローの危機感を背負ってのプレーとなったが、なんとか2-1のまま終了のホイッスルを聞くと、スタッド・ド・フランスのスタンドでは、トリコロールの小旗が一斉にはためいた。

 試合後のデシャン監督の第一声は、「とにかく課題は果たした」。守備にミスが目立ったことや、9節のブルガリア戦も合わせて全体的にパフォーマンスが低調だったことを突く質問も飛んだが、「これから本戦までに選手も、チームも熟成する。課題はもちろんあるが、とにかく目標を達成したことを評価したい」と押し通した。

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