白熱のミラノダービー制したインテル、早くも見せる高い成熟度。実に細かな戦術的駆け引き

2017年10月16日(Mon)15時29分配信

text by 神尾光臣 photo Getty Images
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トップ下に入ったバレロ、守備力加え先取点導く

4-2-3-1のトップ下で起用されたボルハ・バレロ(右)
4-2-3-1のトップ下で起用されたボルハ・バレロ(右)【写真:Getty Images】

 さらにこの日、守備力にプラスアルファを加えていたのが、4-2-3-1のトップ下で起用されたボルハ・バレロだ。ローマ時代にシモーネ・ペロッタらラジャ・ナインゴランを使って攻守両面で仕事をさせたように、スパレッティ監督の好みはカバーにも走れるトップ下。マルセロ・ブロゾビッチの故障とジョアン・マリオの扁桃腺炎による欠場で1列前に上げられた彼は、まさに守備から28分の先取点に貢献した。

 ボナベントゥーラが中盤左、つまりインテルから見て右サイドでボールをキープしたところで、右に寄ってボールを奪取。そしてカンドレーバが拾うと、ダニーロ・ダンブロージオとのパス交換の末右サイドを破ってアーリークロス。これを中央で合わせたマウロ・イカルディは左にすらし、ゴール左隅に転がした。

 きめ細かな戦術指導のもと、作り上げられたインテルの組織守備にはめ込まれたミラン。ここから彼らは後半で反撃に転じるわけだが、その背後にはヴィンチェンツォ・モンテッラ監督による緻密な戦術の修正があった。後半の頭で、攻守に存在感のなかったフランク・ケシエを生え抜きの19歳FWパトリック・クトローネと代える。表面的には点を取りに行くために前線の圧力を増す策と見えるが、指揮官の狙いはもう少し深いところにあった。

 クトローネ投入と同時に、モンテッラは2つの修正を行った。まずは前線を2トップにしてスソを中盤に下げたこと、そして右ウイングバックとして守備に忙殺されていたファビオ・ボリーニに対し、思い切って高い位置を取るようにしたことである。

 前線の枚数を増やすとともに、両翼を目一杯広げてピッチを使う。4バックに中盤が収縮し、横4人で幅を取るインテルに対し、3バックのメリットを活かして横5人で最大幅を取る。これは奏功し、ミランが逆にインテルの守備組織を右に左に振り回すようになった。

 一方のサイドで仕掛けを作り、スソが入ってつながりの増した中盤を経由し素早く逆サイドへ展開する。そのサイドチェンジの対応に遅れ始めたインテルのDFラインは、だだ下がりになった。こうして中盤にはスペースが生まれ、そこを利用してスソがミドルシュートをねじ込む。56分の同点ゴールはこうして奪ったものだった。

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