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セリエA 7年前

白熱のミラノダービー制したインテル、早くも見せる高い成熟度。実に細かな戦術的駆け引き

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

長友はフル出場。正確なプレーで勝利に貢献

 さてこの試合で長友佑都はフル出場。シーズン前には放出もささやかれ、ダウベルトという強力なライバルも移籍してきたが、結局ポジション争いに勝ってダービーのピッチに立った。

 組織守備の吸収に手間取り、潜在能力を発揮しきれていないライバルをさし置き、日本代表から戻り練習日数がないにもかかわらず起用される。その理由は、戦術理解という面での信頼感からだろう。

 現に長友は、特に前半において戦術面に忠実かつ正確なプレーを披露した。DFラインの一角として正確にポジションを取り、精密なラインディフェンスの構築に貢献。攻撃でも頻繁にペリシッチのフォローに走り、スペースがあればドリブルでマークを剥がすチャレンジにも試みた。

 一方で後半は、ミランがボリーニを高い位置に張って攻めてきたことで劣勢になる。「サイドチェンジの場合に相手が5バックなんで、僕自身が最初からボリーニに付いていることは無理。中に選手がいると僕は絞らなきゃいけないんで、どうしてもあそこは遅れる」。ボリーニに付けきれずスペースを与えて、クロスを許したミランの同点シーンを振り返っていた。

 もっともそれもチーム戦術による駆け引きの結果に生じたもので、左サイドの守備自体は大きな破綻をきたしてはいなかった。昨季に比べればポジショニングの安定感向上は目にも明らかで、このスプリントの累積距離は1kmを超えるなどコンディションも良い。

 次節はナポリ戦との首位攻防を迎え、大事な試合は続く。引き続き勝利に貢献し、スパレッティ監督からの信頼に応えられるよう期待したい。

(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

【了】

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