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ローマが与えた衝撃。トレンドに即した最適なチーム作り。ユーベとともにCL16強へ

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ナポリが露呈した選手層の薄さ。戦術プランの少なさにも課題が残る

 マンCに対しては戦力でも歴然とした差があったが、セットプレーとサイドの守備の脆さは他の試合でも晒している。シャフタールとの第1戦でも、サイドへの縦一本の展開とクロスであっさり失点を喫し、勝たなければならないフェイエノールトとの第6戦ではセットプレーで陥落した。

 セリエAの多くのクラブなら、カウンターに行かれる前にボールを奪えて押し込めてしまう。だが激しいプレスに慣れており、身体能力の高い選手を揃えているCLの常連は、我慢しながらカウンターを繰り出すゲームプランも取れてしまうのだ。

 一方で中盤から前は線が細く小兵の多いナポリは、どうしてもハイプレスとポゼッションというスタイルを取らざるを得なくなる。選手層の狭さもあいまって、別の戦術プランを持てなかったのも痛かった。

 また選手層の薄さは、コンディショニングにも非情なまでに響いた。左サイドバックのファウジ・グーラムが故障離脱し、絶好調だったロレンツォ・インシーニエも故障で使えなくなった第6戦では、持ち味とする左サイドの連係が死んだ。
 
 首位のナポリがグループリーグで敗退したのは、イタリア勢の復権アピールとしてはマイナスである。だがその代わり、CL本線は2年ぶりの参戦となったローマが躍進した。今季から就任したエウセビオ・ディ・フランチェスコ監督は指導者としてCL初参戦だが、意外にも欧州のトレンドに沿ったチームを作り上げ、最適なチームマネジメントも取ってきた。

 それは端的に言えば、縦への速攻と過密日程を乗り切らせるための選手采配だ。4-3-3システムをベースにサイドアタック主体で、手数の少ない攻撃でゴールを陥れる。

 プレスも激しく掛ける一方で、守るべき時間帯では引いて守るクレバーさも求める。こうした戦術を浸透させ、選手を入れ替えても大きな変化がないような連係を作り上げた。

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