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セリエA 6年前

ユーベ優勢もインテルが組織的守備で零封。イタリアダービーは両者不満残す痛み分け

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

後半はユーベ優位も、インテルは見事な采配で対応

ルチアーノ・スパレッティ
適切な修正を施したスパレッティ監督【写真:Getty Images】

 そんな膠着状態の中、30分過ぎから徐々にチャンスを作り出したのはユーベだった。彼らは、サイドでボールを奪ったのちのパワープレーに活路を求めた。ただ、ゴールは割れない。37分、右からのパスをマテュイディが落として、ケディラがシュートするもGKがセーブ。45分にはファン・クアドラードがアーリークロスを放ち、左のウイングとして起用されていたマリオ・マンジュキッチがファーで合わせるも、ヘディングシュートはクロスバーを直撃した。

 もっとも強引にゴールを狙った彼らはこれで流れをつかみ、後半はペースを一方的なものにした。

 右サイドではクアドラードが躍動。彼を軸にクロスで揺さぶるパワープレー攻勢によって、インテルのDFラインはズルズルと下がって行く。中央の守備の固さを維持できなくなる相手を尻目にユーベはゴールチャンスの数を増やすのだが、しかしゴールは破れなかった。

 ルチャーノ・スパレッティ監督に適切な修正をされた。左ではクアドラードの圧力に屈しそうになっていたダビデ・サントンを下げてダウベルトを投入。またボランチが押し負けているのを見るや、カンドレーバを外してロベルト・ガリアルディーニを投入し中盤の底を厚くした。こうしてインテルの中央の壁は再び堅いものとなり、ユーベは強引なパワープレーを試みるも精度を欠くようになった。

 アッレグリ監督も75分、温存していたディバラを投入しトップ下に入れる。彼の個人技によってインテルを中央から裂こうという狙いだったが、すると立ちはだかるのはインテルの組織的な守備の連動だ。象徴的だったのは78分のプレイだ。中盤でボールを持ったディバラはガリアルディーニを抜き、イグアインにパスを出しつつ自らは中央のスペースに走っていった。ガリアルディーニの飛び出した裏を使おうという意図だったが、そこにはすぐさまベシーノがカバーに入り、攻撃は阻止された。

 試合を通しチャンスは多く作っていたユーベ。だが疲労からか個々の選手のキレに欠けた彼らは、インテルの守備陣の前にゴール前での精度を奪われた。一方でインテルもユーベのプレスとサイドの守備の前にチャンスが作れずに、結果も痛み分けとなる。「相手のプレスに攻撃を制限された。攻撃面ではもっとやれたと思う」とスパレッティ監督は悔しがった。

 上位陣が接近する中で両チームともに勝ち点1にとどまり、混戦はさらに続く。「さらにコンディションを上げれば、このチームはもっと良くなる」とアッレグリはポジティブに語り、「ユーベのようなパワーと意欲を養いたい」とスパレッティは野心を見せる。この試合で直面した課題をクリアし、後半戦に意図通りの向上を遂げられたチームが、スクデットへと近づくことになりそうだ。

(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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