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本田圭佑 6年前

本田圭佑、クラブW杯で真価発揮。中盤起用での躍動、ハリルJにもたらす可能性【識者の眼】

text by 河治良幸 photo by Getty Images

日本代表での中盤起用は?

本田圭佑
日本代表のシリア戦で右のインサイドハーフで起用された本田【写真:Getty Images】

 その中で本田がペナルティエリア内に侵入してゴールに迫ったシーンが2回あった。29分には左サイドを起点とした展開からボランチのジャイウソンの外側から背後を取り、センターバックがサイドに寄っていたエリア内のスペースでロングパスを受けたが、後追いしてきたジャイウソンと左サイドからカバーに来た元新潟のコルテースに挟まれシュートを打ち切れなかった。

 そして45分にはカウンターからFWゴンサロ・ハラとのワンツーを使い、ペドロ・ジェロメウとのデュエルを制してゴール前に侵入したが、左足を振り抜いた瞬間にコルテースの左足一本に阻まれた。グレミオはパチューカにボールを持たれた状況でも落ちついて対応していたが、この場面はまさしく間一髪で、パチューカにとっては本当に惜しいシーンだった。

 突き詰めて見れば局面の個の勝負ではグレミオに分があったが、そこを本田がクレバーに立ち回ることで、周りの選手が少しでも有利な状況で仕掛けるようにする。そしてその中でチャンスにスペースを狙うという意識は本田がもともとプレーメーカーとして持っている資質だ。それを発揮するには監督やチームメートとの信頼関係が絶対的に求められる。

 延長戦に入りサイドの守備の隙をコルテースにつかれ、エベルトンの鮮やかな決勝点が決まると、パチューカは延長後半にグスマンが退場して力つきた。

 北中米カリブ海王者、メキシコ勢として初の決勝進出はならなかったが、本田にとっては充実した試合となったはず。加入当初は足の違和感や環境への適応に苦しみ、そこから途中出場で結果を残すことで徐々に評価と信頼を高めていった本田だが、南米王者との一戦で、5ヶ月でチームの中心的な選手になったことを印象付けた。

 クラブW杯では2試合続けてインサイドハーフを担ったが、メキシコでは[4-3-3]の右ウィングでも仕事をこなしており、チームの戦術が機能していればサイドでも中央でも存在感を発揮できることは確かだ。

 ただ、やはりボールを持ってつなぎながら相手のディフェンスをはがす形が主流のパチューカと相手の背後を突くことが基本になる日本代表ではベースが異なる部分はある。

 現在のコンディションを継続できれば来年3月の代表戦でチャンスをもらえる可能性は高いが、インサイドがより持ち味を発揮しやすいポジションかもしれない。

 いずれにしても基本的な意識を切り替えながら本田の持ち味を加えていけるかどうか。クラブW杯は3位決定戦を残し、21日にはコパMX(メキシコカップ)決勝が控えるが、ロシアW杯を大目標にかかげる本田がどういう半年間のビジョンを描き、実現させるのか。今後も注目していきたい。

(文:河治良幸)

【了】

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