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長友佑都 6年前

欠場続く長友佑都、活路はどこに。ライバルたちの“クオリティ”を凌駕する答えが必要

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

長友は今回も出場せず。充実するライバルたちと勝負する術は?

長友佑都
長友佑都、出場機会を取り戻せるか【写真:Getty Images】

 拮抗した状態を打破するべく、先に動いたのはラツィオのシモーネ・インザーギ監督。58分、左サイドに爆発的な走力を誇るジョルダン・ルカクを投入。さらにはその7分後、故障から復帰して間もないフェリペ・アンデルソンを投入。高いスピードでボールを運びながら多彩な個人技でチャンスを作る彼の力で、高速でカウンターに拍車を掛けた。

 堅い守備を展開したインテルも、徐々にラツィオのカウンターに追いつけなくなる。そして80分、インモービレとフェリペ・アンデルソン、そしてマルコ・パローロが絡んで一気にゴール前へ。しかしインモービレの折り返しをフリーで受けたフェリペ・アンデルソンがシュートをミスし、インテルは九死に一生を得た。

 その後は、粘り強い守備でゴールを守りきる。相変わらず攻撃陣にミスが出てノーゴールには終わったが、「選手たちは良いゲームを展開してくれた」とルチャーノ・スパレッティ監督は一定の評価を与えていた。

 さてこの試合、インテルの右サイドバックに公式戦3試合連続でジョアン・カンセロが、左には地元紙の予想を覆して、長友佑都ではなくダビデ・サントンが起用されていた。

 インテル移籍後はMFとして起用されることも多かったカンセロだが、この3試合は守備におけるポジショニングでもなかなかのバランス感覚を見せていた。もちろん攻撃に回れば持ち味の突破力を発揮し、カンドレーバとともにチャンスを作っていた。

 一方サントンは、DFラインの一角として後方のスペースを閉める役割に終始。しかし当たりや空中戦でもガッチリと耐えて、堅守に貢献していた。切り替えが早く、前線にボールを放り込んでくるラツィオに対しては、やはりフィジカルが必要だったということだったのだろう。不調に陥りサッスオーロ戦ではスタメン落ちした彼だが、再び巡ってきたチャンスを活かすプレイはしていた。

 さらにこの日、途中から左サイドバックで使われたのはダウベルト。「シーズン最初は難しかったが、練習を通してだんだん分かってきた」と試合後地元メディアに語っている。サイドバックのポジション争いは、より厳しさを増すものになっている。

 シーズンが進み、ライバルたちが充実を見せる中、果たして長友はどこに活路を求めるのか。スパレッティ監督は会見中、言葉の端々に「クオリティが重要」という。カンセロのテクニックとバランス感覚、サントンのフィジカルと足元の確かさ、そしてダウベルトのスピードと左足はまさに「クオリティ」というものだろうが、それを凌駕するものを提示できるか。

「彼らのポテンシャルは僕よりも上なんで、僕は何で勝負していくのかというのを自分の中でしっかり考えて、取り組んでいかないと試合には出られないですよね」と以前長友はコメントしていたが、その答えを見出すことが肝要となる。

(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

【了】

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