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代表 6年前

イブラの代表復帰は? スウェーデン、躍進のカギは「原点回帰」のハードワーク【ロシアW杯全32チーム紹介】

シリーズ:ロシアW杯全32チーム紹介 text by 鈴木肇 photo by Getty Images

「イブラ論争」に惑わされてはいけない

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欧州予選PO第1戦・イタリア戦の先発メンバー

目標:決勝トーナメント進出
ノルマ:1勝

 チームの不安材料は、ゲームメーカーの不在だ。攻撃が停滞するとフォシュベリがポジションを下げてボールを散らすこともあるが、そうなってしまっては彼がゴールに絡む場面が減るだけに、チームにとってマイナスだ。

 セントラルMFのエクダルとS・ラーションはどちらかというとハードワークが売りで、展開力に欠ける。プレーオフ第1戦で決勝ゴールを挙げたヨハンソンは広い視野と戦術眼を備えたタイプの選手だが、第2戦で右膝靭帯を断裂してしまったため、万全の状態で本大会に挑めるかどうか未知数だ。

 スウェーデンといえば、この選手に触れないわけにはいかない。イブラヒモビッチだ。EURO2016を最後に代表から退いているが、本人のキャラクターゆえにいつ心変わりしてもおかしくない。予選突破を決めてから世界では代表復帰待望論が起きているが、スウェーデン国内では少し状況が異なるようだ。大手夕刊紙『エクスプレッセン』が世論調査会社デモスコープに依頼して実施したアンケートによると、このカリスマの復帰を望むのは全体のわずか32%にとどまり、「いいえ」が63%で「わからない」が4%という結果となった。

 実際、イブラヒモビッチが代表に帰ってくることによって、予選突破の原動力となった組織力が崩壊するのではないかと危惧する声もある。

 現役時代にチェルシーなどでプレーし、現在はESPNのコメンテーターを務めるクレイグ・バーリー氏は「スウェーデン代表は信じられないようなチームスピリットと優れた組織力を構築してきた。だがズラタンがそれらを台無しにしてしまう恐れがある」と分析。グループリーグで対戦するドイツの『ビルト』紙も「スウェーデンはイブラヒモビッチがいない方が強い」と報じている。

 だが、イブラヒモビッチの力で勝利を収めた試合はいくつもある。このビッグネームの復帰が現チームにどのような影響をもたらすかは、正直言って分からない。重要なのは、アンデション監督が「イブラ論争」に惑わされることなくチームを構築していくことだろう。

 優勝候補筆頭ドイツ、それに6大会連続で決勝トーナメントに進出しているメキシコが同居する組は決して簡単ではない。とはいえ、予選で2つの大国を蹴落としたことを考えれば、グループリーグ突破の可能性は十分ある。そのためには、韓国との初戦で是が非でも勝ち点3を獲得しなければならない。大国が待ち構える決勝トーナメントに進出し、お家芸である「強国にも負けないサッカー」を存分に発揮できれば、上位に進出しても何ら不思議ではない。

(文:鈴木肇)

【了】

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