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ビジャレアルFW、「史上最高額のアフリカ人選手」としての中国移籍が頓挫?

text by 編集部 photo by Getty Images

セドリック・バカンブ
ビジャレアルのFWセドリック・バカンブは「2つのクラブの間」で板挟みに【写真:Getty Images】

 今季のリーグ戦で15試合に出場し9得点を挙げていたビジャレアルDRコンゴ代表FWセドリック・バカンブの中国移籍が間近に迫っている。だが、この取引はただの「中国行き」とはならないかもしれない。

 スペイン紙『アス』が今月初旬に行ったインタビューの中で「人生を変えるチャンス」として、今冬に北京国安へ移籍することが個人合意に至っていると明かしたバカンブ。当初、移籍金は4000万ユーロ(約54億円)程度になると見られていたが、ここにきて事情が変わってきた。

 バカンブは改めてフランスのテレビ局『カナル+』が放送している番組『カナル・フットボール・クラブ』の取材に対し、「現時点で僕は2つのクラブの間にいる」と語り、未だ自身の移籍がクラブ間合意に至っていないことを明かした。

 その理由は移籍金にあるようだ。税金などを考慮し、当初の4000万ユーロから7400万ユーロ(約100億円)に値上がりすることになり、取引がストップしているという。バカンブの移籍の意思は固まっており、残すはクラブ間合意のみだ。

 とはいえ移籍金の上昇は双方の困難な状況を象徴している。収入に対して税金を科されるビジャレアル側としては、4000万ユーロの移籍金ではエース級の選手を放出するリスクに対する見返りが小さくなってしまう。

 一方の北京国安は、中国サッカー協会が各クラブの過剰な支出を抑えるために採用した事実上の罰金制度によって、高額の取引の場合は相手側に支払った移籍金とほぼ同額を“上納金”として協会に収めなければならない。移籍金の額が上がれば、必然的に大きなダメージを被ることになってしまうのである。

 もしバカンブの北京国安移籍が移籍金7400万ユーロでまとまれば、「史上最高額のアフリカ人選手」として中国へ渡ることになる。今季終了後にRBライプツィヒからリバプールへ移籍することが内定しているギニア代表MFナビ・ケイタの移籍金5400万ユーロ(約74億円)を大きく上回る。

 すでに移籍が内定していることもあって、バカンブは昨年12月末を最後にビジャレアルの公式戦に出場していない。果たしてアフリカの歴史を変えるビッグディールは無事に実現するだろうか。

【了】

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