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アフリカの雑草軍団チュニジア。経験不足を補う組織力で躍進も…初のGS突破に挑む【ロシアW杯全32チーム紹介】

6月14日に開幕する2018FIFAワールドカップロシア。グループリーグの組み合わせも決定し、本大会に向けて期待感は高まるばかりだ。4年に一度開催されるサッカーの祭典には各大陸予選を勝ち抜いた32チームが参加する。フットボールチャンネルでは、その全チームを紹介していきたい。今回はグループGのチュニジア代表を取り上げる。(文:河治良幸)

シリーズ:ロシアW杯全32チーム紹介 text by 河治良幸 photo by Getty Images

3大会ぶりのW杯出場。国際的知名度は低くても…

チュニジア
チュニジア代表は2006年のドイツ大会以来となるW杯本大会に挑む【写真:Getty Images】

【チュニジア代表】
FIFAランキング:27位(2017年12月)
監督: ナビル・マールール(2017年~)
3大会ぶり5回目の出場
最高成績:グループリーグ敗退(1978年アルゼンチン大会、1998年フランス大会、2002年日韓大会、2006年ドイツ大会)
アフリカ予選グループA 1位通過

 3大会ぶり5回目のW杯本大会出場となるチュニジア。各組1枠しかW杯への切符が与えられない厳しいアフリカ予選の中では組分けに恵まれていたかもしれない。ギニア、DRコンゴ、リビアとそれぞれ近年力を付けてきている国ではあるが、W杯出場経験がない相手に対して試合巧者ぶりを見せつける結果となった。

 予選の山場は第4節のDRコンゴとのアウェイゲーム。それまで3試合1失点のチームが前半で2点を奪われる苦しい戦いとなったが、そこから終盤にオウンゴールとアニセ・バドリ(エスペランス)の同点弾で引き分けに持ち込んだ。

 ナビル・マールール監督が率いるチームはチュニジアを代表するタレントたちが勝利のために組織としてしっかりまとまれるチームであることを証明する予選となった。

[4-2-3-1]をベースにバランスよくサイドと中央を使う攻撃を仕切るのは、ボランチのモハメド・ベン・アモル(エトワール・サヘル)とガイレネ・シャーラーリ(エスペランス)だ。ともに国内リーグの名門クラブに所属するため国際的な知名度は高くないが、攻守両面の貢献度が高い選手たち。どちらかと言えばベン・アモルは前に、シャーラーリは後ろに強く、“格上”のイングランドとベルギーに対してはシャーラーリをアンカーにした[4-1-4-1]を採用する可能性もある。

 基本的に中盤と最終ラインからグラウンダーのパスをつなぎ、右サイドのワヒブ・カズリ(レンヌ/フランス)を主軸とした2列目の3人が前を向いて仕掛けるのがチュニジアの“お家芸”だが、W杯本大会ではアフリカ予選ほど自由にボールをつなぐことはできないだろう。得点のカギを握るハムディ・ナゲス(エトワール・サヘル)とアリ・マールール(アル・アハリ/エジプト)の両サイドバックも高い位置で攻撃に絡める回数は減るかもしれない。

 基本的には高い位置からボール奪取とパスワークを生かした攻撃を展開していきたいが、厳しい時間帯に自陣でしのぎ切ることも必要になってくる。その意味でもキャプテンでもある守護神のアイマン・マトルーティ(エトワール・サヘル)に課されるタスクは重い。高い身体能力を生かしたビッグセーブはもちろんのこと、数少ない国外組の1人であるセンターバックのシャム・ベン・ユスフ(カスムバシャ/トルコ)とともに、いかにディフェンス全体を統率できるかどうかが生命線となる。

 最終ラインの中央はそのベン・ユスフとヤシン・メリアフ(スファクシャン)が予選のファーストセットとなっていたが、本来ならアイマン・アブデヌール(マルセイユ/フランス)というインターナショナルなタレントが主力を張るべきポジションだ。酒井宏樹のチームメートでもあるアブデヌールはクラブで出番を失い、予選でも2試合の出場に止まったが、ここに来て復調傾向にあり、本大会では頼れる存在になりそうだ。

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